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お仕置きの朝

2008/03/11(火) 15:58:56
8回目の逢瀬…。
今日は、彼からお仕置きを受ける日…。

夜明け前、極度の緊張で目覚める。
座薬タイプの下剤を使った後、お風呂に入って、丹念に身体を洗う。
この身体は今日、どういう使われ方をするのだろう…。
不安。
期待。
そのどれでもない、説明し難い複雑な感情。
どこをどうされてもいい様に、今の自分に出来る精一杯で、身体の手入れをする。

家を出る前にこれから出発する旨メールをし、彼の住む街に向かって車を走らせ始めた。

  早えな…。

  少しでも早く、お逢いしたくて…

朝方の、見通しの良い田舎の田圃道とは言え、時速80キロで飛ばしながら、携帯メールを打つ。
自分の命知らずな無謀さが、可笑しくなる。


  お前に決定的に欠落しているのは、
  自己防衛本能だ。


突如、Sさんの言葉が脳裏を過ぎる。

  自分を護ろうとしないのは、
  自分が可愛くないからだ。
  もっと自分を可愛がれ。


自分を可愛がる…。
わたしにとっては、あまり理解のできない行動だ。
わたしは、他人を踏み躙ってでも自分を可愛がろうとする人々を見て育ち、自分を可愛がるということに、一種の嫌悪感のようなものを持っている。
けれども、彼を失いたくないと切望するのは、彼なしで生きていく事が、自分にとってどれほど困難なものになるか、予想出来るからであって…。
つまりこれは、自分を可愛がる為に彼を欲している、という事になるのではないか。
そんな理由で彼を欲するのは、彼にとって理不尽ではないだろうか…。

そんな事を考えながら、車を操る。
周囲の交通量が増えてきたら、わたしの無謀運転はなりを潜める。
わたしが破壊したいのは自分であって、他人ではないからだ。
車には、他人を簡単に殺傷する能力がある。
わたしとてそれくらいの事は、理解している。


待ち合わせ場所に着いた。

  今、着きました。待ってます。

彼にメールを送り、彼が現れる筈の方角を、じぃっと見つめていた。

暫くして彼がやって来た。
わたしの姿をみとめた彼が、にっこりと笑う。
それは、いつもの笑顔と変わらなかった。

  段々、到着時間が早くなってるな。

  今日は凍ってなかったし…
  道にも慣れてきているから。


  そうか。じゃ、行こうか。

車中では、このブログや、他のブログの感想などを話して過ごした。
いつも通り、明るくて楽しそうな声の調子。
変わった様子は、感じられない…。

それでも、ホテルに到着した時には、いつもの様に抱き付いてはいけない、と思った。
ただ立ち尽くして、彼の動きを見守る。
彼が、わたしを見て微笑んだ。
少し勇気付けられて、そっと彼に向かって足を踏み出した。
その瞬間。

彼に、髪の毛を鷲掴みにされた。
わたしの中から、一切の感情が消え去った。
呼吸の仕方すら、忘れてしまった様な気がした。

  まずは仕置きを済ませよう。
  お前も早く楽になりたいだろう?


そう囁く彼の声は、今まで聞いたことのない種類のものだった。
低く、冷たく、静かで、高濃度に圧縮された怒りの他に、愉悦の匂いも感じる声…。
目を逸らしてはいけない…。
そんな気がして、必死で彼の目を見つめた。

鰐の目だ…。

愛情も憎しみもない。
目の前の獲物を、屠る事しか考えていない。
その圧倒的な力を行使する瞬間を、待ち望んでいる捕食者の眼…。

今日、わたしは、まったく新しい彼を知る事になる…。
凍てついた思考の奥底で、それだけを確信した。



初めてのお仕置き

2008/03/11(火) 23:04:14
彼は、わたしの髪から手を離すと、言った。

  脱げ。全部だ。

  …はい。

自分の声は、聞こえなかった。
もしかしたら、声が出なかったのかも知れない。
機械的に衣服を脱ぐ。
脱ぎながら、畳む。
畳まないといけない様な気がした。

彼は、わたしの周囲をゆっくり回りながら、感情の読み取れない眼でわたしを見ている。
時折手を伸ばし、わたしの髪を、慈しむ様に撫でる。
けれど慈しんでいる訳ではないのだ、と、感じる。
これは単に、これから使う道具の、手触りと強度を確かめているだけ…。

下着姿になった。

  …ぜんぶ?

声が、掠れた。
彼は今まで、全てを脱がせた状態からわたしを使い始めた事が無かった。

  全部だ。

わたしは作業を続けた。
脱ぎ終わって顔を上げ、彼の目を見て深呼吸をした。

  後ろで手を組め。
  そうじゃない。
  腕は伸ばせ。掌を組め。


彼の手には、赤い綿ロープ。
手首を縛られる。
続いて、肘の上辺りを縛られた。
ギチチッ…というロープの軋む音。
今までにない強さで、縛り上げられている。

首に、幅の広い革の紐が結ばれる。
彼が、首輪の代わりに好んで使うものだ。

  これ、何?

以前、初めて使われた時に、訊いた。

  ギターのストラップ。

楽器をやらないわたしは、答えを訊いても何か判らないままだったが、肌触りが好きだったので、それ以上は何も言わなかった。
彼の引っ張り方次第で、首を絞める強さが自在に変わる紐…その革紐が、首に食い込んだ。

ロープのきつさが、革紐の強さが、今までの彼ではないという事実をわたしに突き付ける…。

  お前は、俺を見てるのか?

何を訊かれているのか、一瞬判らなかった。

バシッ

いきなり頬を平手で打たれた。

…平手打ちなんて…どのくらいされてないんだっけ…

そう考える。
決してわたしが冷静なのではない。
感情の振幅が限界を超えると、わたしは、自分のおかれた状況について、主観的に考える事を放棄してしまう癖がある。
今のわたしは、何も感じない。
何をされても痛くないし、悲しくもない…。
そう自分に言い聞かせてしまうのだ。

打たれたまま、俯いていると、首の紐を引っ張られた。

  俺を、ちゃんと見てるのか?
  え?


バシッ バシッ

どう答えればいいのだろう…。

  俺を舐めやがって。

彼の声は、まったく激していない。
とても静かだ。
それだけに、凝縮された感情が滲んで滴り落ちている様な気がする…。
氷の声の下に渦巻く、灼熱の怒りを感じて、ぞっとした。
わたしは彼を、舐めていただろうか…?
頬を打たれ続けながら考える。
年下の、可愛いセックスフレンド。
そういう意識は皆無だったかと訊かれれば、答えに窮する。
Sさんに対する当て馬のつもりが無かったかと問われれば…全否定することは…出来ない…。
わたしは彼を、舐めていた…。

その時に、何をされても受け入れよう、と、決意した。
彼の怒りは、とても正当だ。
どんな罰も謹んで受ける事が、わたしの謝意の表明になる。
何よりも、ここで彼のお仕置きに耐える事が出来なければ、彼との関係は間違いなく終わる。
それだけは嫌だ。
彼を失うのは嫌だ…。

現実逃避を決め込んだ方のわたしが考える。
この人、平手打ちが上手い…。
変な当たり方をして、顔に痣が出来る様な打ち方はしない。
全くそうは見えないけれど、案外殴り慣れているのかも知れないな…。

冷静なわたしが存在していたのは、この時までだった。