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終わる
Sの話す内容は、昔の話ばかりだった。
学生時代の自分が、どれだけモテたか。
どういう風に、後輩をからかって遊んだか。
大学卒業後、すぐに就職した某大企業で、どんな事があったか。
その反面、現在の自分の事については、水を向けても話そうとしなかった。
よくよく思い出してみれば、わたしは、Sの本名さえも知らないのだ。
訊いた時に、「本名は俺のトラウマ」と言われ、それ以上訊けなかったからだ。
現在の自分を好きではないから、悩み事を持っていそうな人間に近付き、その相談を受け、「皆に相談される自分」「頼りにされている自分」を好きになろうとしていたのでは、ないだろうか。
そこには、相手の悩み事を解決する力になりたい、という意識は無い。
だから、相談の内容を詳しく記憶せず、聞き流してしまえる。
こういうタイプには、相談された事すら黙して語らずにいて欲しいなど、求める方が無茶だろう。
頼られている自分をアピールするな、と言っているに等しいのだから。
現在の自分の状態に満足していないから、自分より酷い境遇の存在を探し、「可哀想」と思う事で、自分の存在価値を高めていたのではないだろうか。
だから、悲惨なグロ動画を観ても「可哀想」という感想しかなく、その動画が撮られた背景などには無頓着でいられる。
周囲に何となく避けられ始めたゲーム仲間にも「俺しか相手する人間が居ないなんて、可哀想」と言いながら積極的に近付いたかと思うと、それで仕入れたその人物の言動を、面白おかしい笑い話にして吹聴できる。
そういう言動を咎めると、「俺って、ドSだからw」と返って来ていた。
ドSだから、自分の言葉で人を傷付け、人を振り回すのは当然…という事の様だった。
けれども…これは、「サディストだから」で済む問題だろうか…?
わたしは、比較対象が、Tさんしかいない。
そのTさんに関して言えば、こういうSの言動との類似性は、全く見られない。
わたしは、Tさんが、他者を貶すのを聞いた事がない。
これは、わたしにしてみれば、本当に驚くべき事なのだ。
と言うのは、彼が、作曲をする人だからだ。
わたしの周囲には、音楽活動をしている人も、何人かいる。
そして彼らはほぼ全員、他のジャンルの音楽や、最近流行っている音楽を、酷評する。
一般人に聞く耳がないから、こんな音楽が流行るのだ、と言い、売れる事だけを目的にすれば、こんな曲自分にでも簡単に作れる、と豪語する。
わたしの好む音楽を知ると、こんなくだらない音楽が好きなのか、と嘲笑する。
彼は、こういう事を、一切言わない。
不思議に思って訊いた事があるが、その返答は、こうだった。
色んな音楽や色んなものに影響されながら、
今流行の音楽も出来ている。
だから、こういう音楽はしょうもない、などとは、
俺には言えない。
不要な音楽など、無いからだ。
彼にとって大事なのは、彼自身が満足出来る曲が、創れるかどうかという事の様だ。
そういう曲をライブなどで演奏して、感動した人が一人でもいれば、それは益々満足だしとても嬉しい…と言う。
そして、彼の音楽で感動する人は、一人や二人ではない。
彼の残虐性を知っているわたしなど、この人のどこからこんなメロディが生まれるのだろう…と不思議に思う程、そしてそんなわたしですら、聴いていて何故か思わず涙ぐんでしまう程、美しい旋律を創りだすのだ。
彼が、一番拘りをもっている分野ですら、こんな調子なのである。
他の事象に対しては、もっと寛大になる。
ほんとうに、彼は、何かを悪しざまに非難したり、貶めたりする事をしない。
たったひとつの例外は、わたし自身に対してである。
わたしに対してだけは、体型の事やものの考え方を、厳しく評価してくる。
彼は、わたしと初めて逢ったその日に、本名も職業も、全て教えてくれた。
彼と話していると、わたしは実によく笑うが、それは、何かを嘲った笑いではない。
彼の提供する話題は、本当に楽しくて笑ってしまう様な事ばかりなのだ。
彼は、自分を、愛している。
彼は、自分に、自信を持っている。
そして彼は、孤独になる事を、恐れていない。
Sとの一番の違いは、ここだと思う。
Sは、孤独を恐れているかの様に、誰かとの接触を常に求めていた様に思う。
そうやって、自分がいないと駄目だという人間を、捜し求めていたのだろう。
完全に自分に依存する人間が現れ、それが重荷になっても、最後まで背負い続ける覚悟は持てぬままに。
だからわたしが、Sと距離をとり始め、それでも普通に生活していける様になった事を、歓迎できなかったのだと思う。
心配している心配していると連絡を寄越し、わたしが、まだ誰かを頼らねばならない境遇である事を、思い出させていたのだろうと思う。
何とかして彼を貶め、自分こそがわたしにとって必要な人間である事を、アピールし続けていたのだと思う。
そして、そんな人間にわたしが散々振り回されてしまったのも、当然だ。
当時のわたし自身が、自分だけでは己の存在価値を見出せず、何の努力もしないままの自分をまるごと受け入れて貰える事だけを望む、甘えているだけの、だらしない存在だったのだから。
Sが、わたしにした事を、Sの面前に、突き付けてやる。
そんな意図で書き始めた一連のエントリーは、あの頃のわたしの醜さを、くっきりと浮き彫りにした。
そしてもうひとつ、大事な事をわたしに思い出させてくれた。
Sとの関わりは、わたし自身が望んで持ったのではないという事だ。
どうしてもそうせざるを得ない状態になり、渋々連絡先を教えた…と、言う事だ。
わたしは、わたしの意志を、もっと尊重してもいい。
わたしの直観力、行動力、判断能力を、もっと信頼してもいい。
そして、ろくでもない人間が周囲に現れ、それに振り回され、悩まされる様になったら、まずは己を省みる事。
そうなってしまった原因は、必ず、自分の方にある。
それをわたしに気付かせてくれた事のみを、Sには感謝しつつ、Sについての話を終わりたいと思う。
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コメント
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ランキングからお邪魔しました。
はじめまして そして コメント失礼します。
無駄ってモノはありません。
経験、人間関係・・・そして時間。
きっとしのぶさんの今後の糧になるものだと思います。
・・・って意味不明なコメントですみません^^;
はじめまして
はじめまして。
読み応えのある文章力に魅力を感じ拝見させていただいています。
過去を振り返り、自分で納得する作業をなさっていらっしゃるのですね。
これからも、素敵な文章楽しみにしております。
コメントへのお返事
>鍵コメさんへ
毒を出して、すっきり再出発といきたいものです。
>STUDYさんへ
コメント、ありがとうございます。
意味不明だなどと、とんでもございません。
確かに、どんな経験も無駄ではない…と、思います。
今後の糧に出来るかどうかは…わたしの心掛け次第でしょうか。
経験を無駄にせず、常に省みる事を忘れずに、日々を過ごしたいと考えております。
>紗英月さんへ
コメント、ありがとうございます。
わたしは、書く事で、自分の中で渦巻く感情の整理を
つけている様に思います。
本当に「独り言」としか言えぬ当ブログを、
少しでも楽しんでいただけたのなら幸いです。
皆さま、これからも、どうかよろしくお願いいたします。
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