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自信

2009/11/04(水) 15:38:56
結局のところ。

自分自身に嘘を吐く事は、出来ないのだ。


それから。

誰かと話したり接したりしていて、
意識の何処かで警鐘が鳴った時は、
例えそれがどんなに小さな音でも、
気付かぬ振りで無視すべきでは無い。

警鐘が鳴るのは、
私の性格が捻じ曲がっているからでは無い。
私の感性が被害妄想で凝り固まっているからでは無い。
ましてそれが、何度も何度も聞こえる音ならば、
私はそれに耳を傾け、適切に処理しなければならない。
相手が私に害意を持っていようがいまいが、
悪意があろうがあるまいが、
この人は、私に良い影響は及ぼさない。
その事を、私の経験値が警告しているのだと
素直に自覚しなければならない。

でなければ私は、今回の様に、鬱憤を極限まで抑圧した結果、
些細な出来事で瞬間的に沸騰し、爆発してしまう。
自身ですら持て余す程の怒涛の如き感情の奔流を、
どうする事も出来なくなってしまう。


  お前、自分を信じろ。

いつだったか、彼が、そう言った。

『自分を信じる』 即ち 『自信を持つ』 という事…。

今回の事にしても、私が、
直感や違和感を否定せず、
己を欺こうとせず、
自信を持って判断し、
行動していたならば、
こんな終わり方はしなかっただろう。


離婚の際、元夫との悶着で、
私はこの事を実感した筈なのに、
どうも同じ過ちを繰り返していた様だ。

今度こそ。
今度こそ、私は、自分の、感性を、経験を、信じようと、思う。

これが、Sさんが最後に私に教えてくれた事だ。





案の定

2009/11/17(火) 21:59:43
100%貴方の味方だ

と 言っていた人たちは

案の定

尋常じゃないダメージをわたしに与えて

去って行った





わたしの所為

2009/11/18(水) 03:53:38
元夫の残した地雷が、半分炸裂する。

わたしは今、家を失おうとしている。
次に住める家は、まだ見つからない。

揺れ動く生活の基盤。
これを上手く乗り切りつつ、仕事は続けるつもりだった。
なのに、わたしの精神力は、そこまで回復していなかった。
仕事に差し障りが出てしまうくらい、精神状態が悪化した。
その結果、契約期間は更新される事なく終了し、わたしは近々無職になる。

こんな事態に備えて、相談していた親戚は、

  僕は、100%、キミの味方なんだから、
  何も心配しなくていいから。
  何とかしてあげられるから。

と断言していたのに、いざその時が来たら、
相談に乗ってやる代わりに、わたしの母親と和解せよ、と
交換条件を出して来た。
現状、「和解=母親との同居」となる可能性が非常に高いため、
その条件は断るしかなかった。

八方塞がり…。

彼に、メールで泣き付く。

  俺に聞かれてもわからん。
  自分自身で解決するんだな。
  お前のこれまでの生き方が、
  この結果を呼んだんだ。
  責任持ってケリつけろ。


彼の返答は、そっけない。

この事態が、わたしの責任…?

元夫に言いくるめられて離婚後も連帯保証人を降りなかった事…
元夫の会社の借金と家のローンは、元夫の自己破産によって、
わたしが債務者となっている事…
家が競売にかけられる事…
このところ不安定だった精神状態を、更に乱される事態があった事…

これら全てが、わたしの責任…?

  家事もろくに出来ない様な、
  お前みたいな女は、ここまでされて当然なの。
  こうなったのは自業自得、全部お前の責任なの。
  後は自己破産するなり自殺するなり
  好きにやれば?
  ほな、さいなら。

そう言い棄てて、行方をくらませた元夫…。

これも全てが…わたしの責任だと…彼ですら、そう思うのだろうか…。

絶望する。

  ああ、はっきり言ってやる。
  こうなったのは、母親、元夫、病気、薬、
  腕の故障の所為じゃねえ。
  全てはお前が招いた事だ。
  お前は、いつも何かのせいにしている。


そんな事は無い…!
無いと思う…!

悪いのは、母親を憎むしか出来ない自分だと思い、
悪いのは、ここまで元夫に憎まれる自分だと思い、
病気になった自分、薬に頼らざるを得ない自分、
腕を故障する様な仕事の仕方をした自分…
自分ばかりを責めてきた…!

そう、思う。

  これは、お前が生まれ変わるチャンスだ。

  こうなったのは、お前が、自分に正直に
  生きてこなかった所為だろ?

  やりたくない事は、やらんでいいんだよ!


そうは言われても、わたしには、
どうすれば良いのかが解らない…。

自分に正直に生きる…というのが、
わたしには、解らない…。

  じゃ、やっぱりお前のせいじゃん。
  同情して欲しいんなら、他を当たんな。
  俺は、寝る。


メールが、途絶えた。

彼の前でだけは、自分に正直に振舞う事の出来るわたし。
彼の居ないところでも、自分に正直に…?
やりたくない事は、やらずに…?

わたしは
その方法を
考える………。







犬...(1)

2009/11/18(水) 17:35:58
次に引っ越す家を探すに当たり、何よりも障害となったのは、大型犬の存在だった。

周囲の人は皆、里子に出すべきだとアドバイスをくれる。当然だ。
けれども、わたしには、どうしてもその決心をする事が、出来ない。

前の仕事を辞めた後、生ける屍の様になっていたわたし。
犬と猫が居なければ、わたしはここを乗り越える事は、出来なかった。
あの時期、わたしに微笑を浮かべさせてくれていたのは、犬と、猫だった…。

猫も、犬も、もう年寄りだ。
最期は、わたしが看取ってやりたい。
その思いが、強い。
それがわたしの、義務だと思う。


そんなある日、犬の食欲が、激しく減退している事に、気付いた。
普段は、意地汚いといってもいいほど、食欲旺盛な犬だ。
絶対に、おかしい。
何かの病気に罹っている。

脳裏で、何かが、囁く。

  このまま、気付かないフリしていれば…
  このコは死んで、家は見つかるよ…
  猫だけなら、何とかなりそうじゃない…?

  もうそろそろ、突然死んでもおかしくない
  年齢なんだし。この犬もさ…

  犬より、自分のこと考えなくちゃ…

囁き声は、日毎に大きくなる。

  あの時わたしを助けてくれたのに
  あれだけわたしを励ましてくれてたのに
  見殺しにするんだ…?

  見殺しに、するんだ…?

  最低。
  最低。

わたしを非難する声も、聞こえる。

  でも…どうするの…?
  どうするのが一番いいの…?

葛藤の中で、それでも何にも気付いていないフリをして過ごしていたある日。
とうとう、目に見える症状が、出た。
病名に思い当たると同時に、すぐに手術しなければ、犬は間違いなく命を落とすと判った。

明らかに犬の死を望んでいたくせに、それがいよいよ現実味を帯びた途端、わたしは激しく狼狽した。
彼に、メールする。

  (犬の名)が、死にそうです。

  まじか。
  病院に連れて行かんのか。


  だって…次に住む家も見つからないし…
  それにこれ、絶対に手術になります。
  お金がどれだけ飛ぶ事か…


  どのくらいかかるんだ?

わたしは、それまで動物と暮らしてきた経験から、推測される金額を伝える。

  そんなにするのか…

ぐったりと横たわる犬の傍で、檻の中の白熊の様に、ウロウロする。
しゃがみこんで、犬を、そっと撫でる。

  (犬の名)…

低く、呼びかける。
犬は、頭を上げて、カラカラに乾いた鼻をわたしに押し付け、力なく掌を舐める。
どうすればいい?
わたしはどうするべきなのだ?

決まっているだろう…?

心の進路が、一方向に収束し始めた時、彼から、メールが入る。

  病院に連れて行くだけでも、駄目か?
  獣医に事情を正直に説明するってのは?
  後で後悔しない方法を、考えるべきじゃないか?


まさに…わたしが出そうとしていた結論そのものだった。
行動に起こそうとしていたわたしの背を、トンと前に突き飛ばす言葉だった。

  行って、相談してみます。

わたしは勢いよく立ち上がり、動物病院に行く支度をし始めた。






犬...(2)

2009/11/18(水) 22:02:37
動物病院では案の定、わたしが察知した通りの病名を、告げられた。
わたしも、自分の事情を、簡潔に説明する。
そして、手術費用などを、分割払いにして貰えないかとお願いした。

  そういう事だったんだ…。
  ここ数年、しのぶさんを見てて、
  どうも様子がヘンだなと思ってた。
  挙句に全然来なくなったから、
  とても心配してたんだよ。

よく考えれば、この病院とも、もう20年近い付き合いなのだった。

病院から出された提案は、費用を安く抑える代わりに、一括で支払う事。
その代わり、治療等は必要最小限になってしまうから、あとは犬自身の体力に賭ける形になる…と、言う事だった。
金額を聞けば、それが破格の待遇なのは理解できた。
他の患者さんには、口が裂けても言えないほど優遇された金額だった。
涙を堪えながら、「ありがとうございます。お願いします」と頭を下げた。

彼に、状況を報告する。

  よかったじゃないか。
  あとは、(犬の名)の生命力を
  信じるだけだな。


  はい…
  Tさんが、わたしの決断を
  絶妙のタイミングで
  促して下さいました。
  ありがとうございました。
  (犬の名)は、先天的に心臓が悪いので、
  全身麻酔そのものから危険なんですが、
  あとわたしに出来るのは、祈る事だけです…


  ま、大丈夫なんじゃねえの?
  そんなニオイがするぜ。


彼の、こういう言い方は、決してその場限りの気休めではない。
不思議な程に、勘が働く様なのだ。
そして今のところ、彼が感じた「ニオイ」は、外れた事が無い。
だからわたしは、少し安心する事が、出来た。


翌日の手術そのものは、無事に終わった。
手術室から入院室に移された犬の濡れた体を、タオルとドライヤーを使って乾かす。
そうしながら、犬の名を何度も何度も呼びかける。
ここでこのまま目覚めない可能性も高かったから、必死だった。

犬は、意識を取り戻した。
そして、10年一緒に暮らしてきて、今まで一度も聞いた事がない悲痛な鳴き声を、上げた。
痛いのだ。
涙が、溢れる。

  ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。

何度も何度も謝りながら、撫で続けた。

  血糖値を上げなきゃならないから、
  大好物を食べさせてあげて。
  欲しがるだけあげていい。

獣医さんに言われる。
用意してきたバナナの皮を剥き、いつもの大きさに折って口に運ぶ。
犬は、バナナを口に含むが、すぐにコロリと出してしまう。

  先生…食べません…。

  大き過ぎ。
  もっともっと小さくしてあげて。

咀嚼する体力すら無いのだ、と気付いて、愕然とする。
親指の爪くらいの大きさに千切って、口に入れてやると、犬はそれを、ようやくという感じで、飲み込んだ。
時間をかけゆっくりとではあるが、犬はバナナを食べ切り、嘔吐もしなかった。
彼に、無事に手術が終わり、意識も取り戻して、落ち着いた事を報告する。

  そうか!
  よかった。


彼もとても気にしていた事が、普段にはない返信の早さに表れていた。

犬を入院させ、帰途に着く。
涙が、再び溢れて来た。
わたしは、生き物の、生き延びようとする本能の凄まじさに、圧倒されていた。




犬...(3)

2009/11/19(木) 01:57:54
他のところはどうか知らないが、わたしが通う動物病院では、患畜が点滴を受ける間は、飼い主がずっと傍に着いていなければならない。
動いて、針が抜けたり機械を倒したりしない様、見ているのだ。

犬の手術のしばらく後、彼と、会う約束があった。
犬は毎日、点滴と、心電図検査、血液検査を受けていたから、その日もわたしは、動物病院に行かなくてはならなかった。

  じゃ、俺も行く。

彼は、あっさりそう言った。

  え…だって、全部終わるのに
  2~3時間はかかりますよ?
  じーっと待ってないといけないですよ?


  構わん。
  (犬の名)を見舞ってやろう。


わたしにとっては、彼に会える上に犬の面倒も見られるのだから、とても嬉しい言葉だった。

  なんだこれ!
  すっげー馬鹿っぽいなぁ。


犬を見るなり、彼が言った。
手術の為、綺麗に剃毛された腹部と前足の状態が、とても間が抜けて見えたらしかった。
病院で待たされて、退屈のあまり不機嫌になったらどうしよう…という私の心配も、杞憂に終わった。
彼は終始機嫌が良く、楽しそうだった。


犬の回復は、とても順調だった。
動物病院のスタッフも驚く生命力を、見せてくれた。
心電図だけが、頻繁な不整脈を示していたけれども、これは先天性のものだから、ある程度以上には治りようが無い。

犬の回復を見守るわたしの中から、「この犬さえ居なければ…」という思考は、完全に、消え去った。
今後の生活がどうなるにしろ、最期の瞬間まで一緒にいよう…という決意を、固めたのだった。

元夫は、離婚の際に、言っていた。

  妻ならば、夫が引っ越すと言ったら
  犬を保健所に持って行ってでも
  着いてくるべきだったのに、
  お前と来たら、なんだ。

この時には、心底、ゾッとした。
元夫が突然、見知らぬ人に、変化した。
どちらかと言えば猫派なわたしに、自分は犬の方が好きだと言い続け、幼い頃に飼っていた犬が、どれだけ賢かったかを自慢していた人の口から出た言葉だとは、到底思えなかった。
この時にわたしは、この人と夫婦でいるのは、もう無理、嫌だ…と決意したのではなかっただろうか。

そう…わたしはあの時、夫と暮らす事よりも、犬や猫と暮らす事の方を、選択したのだ。
その結果が今の状態ならば、わたしは、自分の選択に責任を持たなくてはならない。
たとえこの選択が、一般的な常識からは、かけ離れたものだとしても。


この日の別れ際、彼に、封筒を渡された。
中には、現金が入っていた。
戸惑うわたしに、彼が言う。

  (犬の名)の手術代の足しにしな。

  えっ…
  で…でも…


「わぁありがとう」と受け取れる額ではなかった。

  だ…だって…
  どうしたのこのお金?


  バイトした。

  え…?

  ちょうど臨時のバイトがあったんでな。

  え…いつ?

わたしが、術後の犬の世話で、狂奔している最中だった。

  ええーっ!

いかに破格の優遇だったとは言え、それでも、この先やりくりどうしよう…と、胃痛を感じるだけの金額は、簡単に吹っ飛んでいた。

  い…いいの…?

  ああ。
  こいつの為に、やったんだしな。


思わず、彼に、しがみつく。

  ありがと…ホントに、ありがと…

  おう。
  それから、おい、(犬の名)!


彼は、犬に向かって、びしっと人差し指を突きつけた。
犬が、きょとん、と彼を見上げる。

  てめぇ、今度会う時までに、
  その腕の毛、生やしとけよ!
  わかったな!?


  ちょ…そんな無茶な!

久しぶりに、心から愉快で笑い転げてしまった。
けれどもわたしの視界は、涙で微かに滲んでいた。





タイミング

2009/11/19(木) 14:39:08
何事においても
妙にタイミングの悪い人
と、いうのが、居る。

逆に、常に絶妙に
タイミングの良い人
と、いうのも、居る。

そして更に、付き合うにおいて
タイミングというものを全く意識せずにすむ人
と、いうのも、居る。

周囲をとりまく殆どの人は、三番目に該当すると思う。

だが、
タイミングの悪い人は、
まるで狙い澄ました様に、
常に最悪のタイミングで
アクションを寄越す様に、感じる。


タイミングの良し悪しなんて、
本人には判るべくもない事、
完全にこちらの都合であり主観なのだから、
そんな事を相手の判断基準に含めるべきでは無い。

そう思いながら、生きてきた。


けれども今、わたしは、
常に最悪のタイミングの人というのは、
やはりわたしにとって害悪になる…という
何かからの警告だと解釈した方が、
良いのではないかと考え始めている。

タイミングがとても悪い人には、
近付かない。
近付けない。
関わらない。
関わらせない。

それを忘れない様に、したいと、思った。

何でこんな人を…という憤りや悲しみや屈辱感を、
これ以上自己否定の鎖に変化させてしまわぬ為に。






強く

2009/11/28(土) 23:34:22
  俺は、お前を映す鏡だ。


彼が、わたしによく言う言葉だ。


  俺に限らず、お前を取り巻く人間は
  全てお前の鏡なんだよ。



彼は、こうも言う。


  お前の元旦那さんは、確かに酷い奴だ。
  だが、旦那さんがそうなったのは、
  お前にも原因があった筈だ。
  お前は旦那さんを、本当に純粋な愛情で
  夫に選んだか?


そう言われると…確かに、あの人を結婚相手として選んだ時、愛情よりも打算が優位であった事を、認めざるを得ない。
当時の会社では、あの人が一番の出世頭だった。
この人と結婚すれば、経済的な苦労はせずに済むだろう。
そういう思考が、本人を判断するのに大きな割合を占めていた事は、否定出来ない。


  Sにしてもそうだ。
  なんで近付けたんだ?
  そういう人間だという事は、
  わからなかったのか?


いや…本気で、『この人駄目。嫌だ』と思った事は、何度もあった。
それでも、付き合いを絶とうとしなかったのは…淋しかったからだろうか…?
この人を否定すれば、この人に頼ってしまった自分をも否定する事に、なるからだろうか…?
その当時の自分の、思慮の無さ、浅ましさを、自覚する事になってしまったからだろうか…?
おそらく、そうなのだろう。


  俺は、お前に対して、
  俺の全てを曝け出している。
  それが出来なくなった時、
  お前との関係は終わると思っている。



それは、判る。
彼は、本当に正直に、わたしに自分の全てを見せてくれていると感じる。
だからわたしは、ここ最近でぶり返してしまった、強烈な対人恐怖症に翻弄されながらも、彼の事だけは、信じていられるのだ。

そして、そこに彼の、途轍もない強さを感じる。

見栄も虚勢も、張らない。
美辞麗句も駆使せず、思った事を言い、思った通りに行動する。
それで相手が自分から離れるなら、それはそれでいい。
俺は、独りでも全然平気だ。
そういう強さ。
けれども実際、彼は独りではない。
友人だって居るし、仕事先でも信頼されている様だ。

彼が、周囲に隠している事は、自分がサディストであるという部分だけ。
そしてわたしは、そんな彼の性癖をも知る人間…。


わたしには、そういう強さが、無い。

わたしの本音を、真実の姿を見せれば、人はわたしから離れていくだろう。
それがわたしには、何よりも怖い事に思える。

  あんたみたいな嫌な子は、
  世の中の誰からも好かれない。
  私しかあんたの味方はいない。

そう母親に言われ続けていた事も、無関係ではないと思う。

だからわたしは心の中とは裏腹に、快活に振る舞い、鷹揚に振る舞い、周囲の人がわたしに抱いているイメージ通りに在ろうとし……最終的に、破綻する。
これを、繰り返している…。

偽りの自分を演じるわたし。
そしてその偽りのわたしを期待している周囲…。

自分に、正直に、生きれば、周囲を取り巻く人間も、変わるだろう。
今のわたしに必要なのは、それで独りになる事を、恐れない強さ。

そしてわたしが、本当に独りになる事は、無い。

何故なら、わたしの全てを曝け出しても尚、彼が傍に居てくれるから…。





始まり

2009/11/29(日) 01:07:29
Sとは、とあるオンラインゲームで、同じパーティでプレイした事がきっかけで知り合った。

バトルが終わった後、今後はメッセンジャーで会話しようと誘われたが、わたしはそれを断った。
ゲームでの知り合いと、余り深く付き合いたくない、というのが、本音だった。
ゲーム内でのわたしは、完全に偽りの自分。
プレイ中でない時にまで、偽りの自分を演じるのは、とても疲れるだろうと思ったからだった。

ある日、何度か同じパーティでプレイした結果、わたしが好感を持っていた子から、メールが入った。

  Sさんから、しのぶさんをメッセンジャーに呼べ!
  と言われました。
  僕もしのぶさんとはメッセで話したいので、教えて欲しいです。

この子にそう頼まれると、無碍に断れない…。
わたしにとっては、そういう子だった。

  そうか…しょうがないなぁ…。
  君にそう頼まれると、断れないな。

わたしは、メッセンジャーでの会話を受け入れた。

Sから早速、わたしにメッセージが飛んできた。

  あいつを使って訊いたのは、
  正解だったなwww


  その様だね。
  断り切れなかったよ。


もう記憶が定かではないが、当時確か、このゲームのオフ会があるので、このパーティのメンバーも参加しようという話が出ていた。
わたしは当然、参加する気は無かったのだが、Sは、わたしにも参加して欲しいという事だった。

更に、このパーティで一度オフ会をした結果、メンバーの中の女の子に一目惚れした子がいるので、その子のキューピッド役をしているのだが…と、相談された。
その会話に違和感を覚え、Sに言った。

  その相談に乗る前に、
  ちょっと君の思い違いを
  訂正しなければならない。
  私は、実は女なんだ。


  えっ…マジすかwww

  マジ。
  女です。
  だから、その相談に乗るなら、
  女からの意見だという事を
  念頭に置いて欲しいと思う。


わたしは、偽りの自分を演じるに当たり、プレイヤーの性別を特定されぬ様にも振る舞っていた。
その結果わたしは、ゲーム仲間に、男性であると思われていた様だった。

  ほほうww
  ブラジャー何カップ?


  …いきなりそれかい。

  ま、俺はこういう軽い奴だwww

  …それにしても、メッセ繋ぐなり
  恋愛相談を受けるとは
  思ってなかったぞ。


  んー…ま、お前は
  そういう相談が出来ると
  思ったからだな。
  大人、というかさ。


  そりゃ…確かに他のメンバーと
  比べりゃ大人だろう。
  皆どうも、随分若い様だからね。
  学生さんが多いね。


  そうなんだよ。
  ちなみに歳いくつ?
  まーきっと俺が最年長だろうがwww


こうして、わたしとSとの付き合いは始まり、個人的な情報を晒し合う仲となった。
この時、このゲーム内では当時遭遇した事のない40歳代同士だったという事実が、わたしの中にSに対する親近感を芽生えさせていた。
更に、相談事をするに足る人物だと認められた…という自尊心を、擽られてもいたのだった。