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初めてのイマラチオ

2008/03/14(金) 00:45:02
  そろそろ餌をやろう。

その言葉で、静かな時間は終わりを告げた。
彼がベッドから降り、ズボンと下着を脱ぐ。
わたしも急いで起き上がり、仁王立ちしている彼の足元に跪いた。

彼は、フェラチオを「奉仕させる」とは言わない。

  これは、お前の餌だ。
  たっぷりと味わえ。


そう言う。
それほど、彼をしゃぶっている時のわたしは、嬉しそうなのだそうだ。

唇と舌と手を使って一心不乱に、咥えて、舐めて、吸って、扱いて、彼のものが膨張し、硬直し、わたしを狂わせる凶器へと変貌していく過程を確かめ、味わう。

  ああ…気持ちいい…。
  お前、上手くなったなぁ…。
  どこに出しても恥ずかしくないフェラだ。


どこに出しても…って、どこに出す気なのだろう?
他の男にわたしを使わせたいという願望が、やっぱりあるのだな…と、漠然と考える。

わたしの頭を撫でていた彼の両手に、力が入った。
じわじわと喉の奥まで捻じ込まれる。
完全に怒張した彼のペニスは、わたしの喉をすっかり塞いでしまう。

んぐ…ぐぇ…

わたしの喉から、聞き苦しい音が漏れる。
いつもなら、ここで彼は手を離すのだが、その日は違った。
わたしの頭を、押し続ける。

ぐ…ぐぶっ…

わたしは、噎せる。

  こうされたかったんだろう?
  これが、好きなんだろう?


頭上から降ってきた彼の声には、残虐性が滲み出し、ぞっとする様な響きがあった。
そう、こうされるのが望みだった。
動かして欲しい…。
その気持ちが通じたかの様に、彼がゆっくり、わたしの口の中で動き始める。
初めての、イマラチオ。
嬉しい。
でも、苦しい。
粘度の高い涎が、噎せる度に唇から溢れ落ちる。
それでも、わたしの喉を突くのより、頭を掴んでいる手の方に、彼の力の集中を感じる…。

ぐぼぇぇ…っ

喉の奥まで押し込まれ続けて、とうとうえずいてしまった。
背中を丸めたわたしの頭を、彼が解放する。
びちゃっと、わたしの膝の上に嘔吐したものが落ちた。
ただの水のようだった。
朝から固形物を胃に入れていなかったからだろう。
胃液が逆流した感じもなく、休憩で飲んだ水を吐いただけだった。

  後ろからしてやる。
  立て。


言われて、乱れた呼吸を整える間もなく、後ろから貫かれた。
激しく突き上げられて、わたしは、悲鳴に近い喘ぎを漏らしながら狂乱した…。




彼。

2008/03/14(金) 21:04:39
後ろから激しく責め立てられ…何度も達して、動けなくなったわたし。
それを、ベッドに横たえて休ませ、水を飲ませた後、仰向けになり、天井を見つめながら、彼が口を開いた。

  俺のことを優しいと思ってるんなら…。
  それは、俺をちゃんと見ていないって事だ。
  俺の優しさは…俺のこの欲望を、誰にも悟られまいと
  隠してきた結果、俺が纏っている鎧の様なものだ。
  お前は、その鎧しか見ていないんだ。


何も、言うことが出来なかった。

  こっちは初心者だぞ。
  何十年も封印していた欲望を一気に解放して…
  途中で制御する事が出来なくなったら、
  …どうするんだ…?


この時の彼の瞳は、黒い大河の濁流を覗き込んでいる様だった。
彼のこんな暗い眼を初めて見た、と思った。

イマラチオの時、彼の手の方に力を感じた理由を、理解した。
あの時感じた力は、抽送を補助するものではなかった。
わたしの自由を、封じ込める為のものでもなかった。
あれは、欲望が暴発しそうになるのを、必死で抑制していたが故の力。
彼の、強靭な意志力の顕在…。

自分がサディストであると自覚した時から…彼は、自分自身の欲望と、壮絶な闘いを続けてきたのだろう。
独りきりで。
その上で、あれだけの鎧を構築出来るとは…彼の、並ならぬ精神力を思い知らされる…。

わたしも、彼とは分野が違うけれども、誰にも理解してもらえない苦悩を抱えている。
人と違うということがどれだけ孤独かは、身に沁みてよく知っているつもりだ。
けれどもわたしは、とても脆い。
そう思っている人は少ないけれど…強い女だと言われてばかりだけれど…その実、蝶や蛾の腹部の様に脆くて、ちょっとした打撃で、すぐにぐちゃりと潰れてしまう。

この時、わたしの胸中に込み上げてきた想いを、どう表現すれば良いのだろうか。
彼への共感、愛しさ、敬意…。
どれをとっても、当て嵌まらない様な気がする。
未だに言語化出来ぬものを、その時のわたしが伝達できる訳もない。
けれども何とか伝えたい…。
そういう時、わたしは、身体で表現しようとするのだ。
獣のように。

身体を起こして彼に覆い被さり、その唇を貪った。
彼が、応える。
やがて彼の方がわたしの上へと位置を変え、中に入ってくる。
先ほどとは打って変わって、わたしの感触を、隅々まで味わおうとするかの様な、穏やかだけれども力強い抽送…。
思わず、口を突いて言葉が出た。

  T…Tさん…。

  ん…?

  Tさんを、好きに、なってもいい…?

わたしが好きになる人は…夫も、Sさんも、そのうちわたしを持て余す事になる様だから…。
それが彼にも、判った筈だから…。

  俺は、彼女とか、そういう女には欲情しない。
  こうしてお前を突かなくなる。
  それでも、いいのか?


  違う…。
  彼女なんかじゃなくていい…。
  玩具のままでいいの…。
  ただ、わたしがあなたを、好きでいていいか…。
  好きでいさせて欲しいの…。


彼は、それには答えず、優しく微笑しただけだった。

いかに本性を隠す為とは言え、中身とあまりにも乖離している鎧なら、気味の悪い歪さがどこかに必ず見える筈。
けれども彼は、そうではない。
こちらまで優しい気持ちになれる優しさ。
一緒に居て愉快な気持ちになれる明るさ。
これらを、暗い黒い衝動や残酷さと共に、表裏一体で併せ持つ。

それが、彼。
わたしの全てを、支配しつつある人。