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3度目のお仕置きが行なわれた逢瀬は、連休最後の日だった。
その翌日仕事のない彼は、再びバイクで一泊ツーリングに飛び出してしまいそうな勢いだったのだが、連休中のせめて一日くらいは、朝から晩まで抱き合っていたいというわたしの願いを、叶えてくれたのだった。
少しは片付いたか?ホテルで寛いでいる時、問われて、答える。
ほんのちょびっとだけね。 どこを片付けた? 居間に散らかってる本を書斎に運んで、
雑誌やダンボールをまとめて縛って、
テーブルで使ってたMacをPCデスクに移動したよ。 ほほう…。
綺麗になったか?わたしは、大きく溜息をつく。
全然…。
本を書斎に運んだら、今度は本の整理だよ。
本棚を買い足さないと、全部は入らないだろうな。
PCデスクも、Macのとこ以外は凄いままだし、
そろそろ庭も何とかしないと、
またジャングルになっちゃう。
もう大変だよ…。 阿呆。彼が、平手でわたしの頬をペチっと叩いた。
『大変』じゃない、『楽しい』と言え。
やる事が一杯あって、いいじゃないか。
やる事があるのは、楽しいだろう? え…。初めて言われる言葉だった。
片付けられなくて、散らかして、『もう大変…』と零した時、今までわたしに返ってきていた言葉は、『自業自得』とか『散らかすのが悪い』とか…そういう類のものばかりだった。
そしてその度に、『そう…自分が悪いのだ…』と、落ち込むのが常だったのだ。
けれども彼は…。
片付けを、楽しむ?
やる事があるのは、楽しい…?
わたしには、全く無い思考だった。
思えば…。
彼がわたしに、ダイエットを心掛ける様に言って以降も、一緒に食事をする機会が何度もあった。
けれども彼は、わたしの食べるものに文句を一切言わない。
例え…ラーメンにご飯もののついているセットという…ダイエットの天敵を欲しがろうが…非難めいた事は、ひと言も、言わない。
罪悪感を感じて、
こういうのが一番太るんだけどね…。と呟いても、
食った分、運動すりゃ済む。と言うだけなのだ。
彼はきっと、食事を楽しんでいる。
だから自分が食事を楽しむ為に、相伴しているわたしにも、好きなものを自由に選ばせ、楽しく食べさせている…。
そんな気がする。
喜怒哀楽の感情を、一切取り繕うな。
俺の前では、全てを素直に表現しろ。
それが出来ん玩具なら、俺は要らんぞ。彼に、厳命されていることだ。
この言葉を証明するかの様に、彼は、わたしの全ての感情の動きを面白がり、愉しむ。
どん底まで落ち込んでいる時も、悲しくてしょうがない時も…真面目に応対してくれたり、時には茶化してみたりしながら、わたしの吐き出す感情を、余す処なく堪能している様だ。
もしかして…彼の明るさがわたしに伝染するのは…どんな瞬間も、彼自身がとても愉しんでいるからではないのか…。
今後の自分の生き方に対する、ヒントを貰えた様な、気がした。