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離れていた彼の気配が、わたしの傍らに戻ってきた。
わたしは必死で呼吸を整え、耳を澄ませる。
乳首責めが終わったと思うのは、まだ早いかも知れない。
これは単なる小休止で、また洗濯ばさみが登場するかも…。
彼が、息を潜めたのか、その気配がすぅっと小さくなる。
来る…。
何か、される…。
乳房に、冷たい尖ったものが触れた。
電流が走った様に、身体が跳ね上がる。
ぶしゅっ…
ボールギャグを通して、わたしの呼吸がおかしな音を立てる。
尖ったものは、わたしの乳房の上をゆっくりと滑り、ふっと離れていった。
弛緩。
ふしゅー…ふしゅー…
室内に、わたしの呼吸音が満ちる。
再び乳房に押し当てられ、一気にわたしは緊張する。
これは、何…?
まさか…
針…と浮かび、直ぐに打ち消す。
そこまで鋭利なものではない様な感触だと思い直す。
いや、でも…一般的な縫い針を連想する。
糸を通す方は、鋭く感じないかも知れないではないか…。
しかし、これだけ感覚が鋭敏になっているなら、糸通しの方のあの形状でも、充分鋭利だと感じるのでは…?
これらの思考が頭の中、凄い速度で流れる。
呼吸が、荒くなる。
この感触は、激痛を与えられるものなのか…そうであればいつ、激痛に変化するのか…緊張感が、わたしの身体を硬直させる。
お前の乳首に、
針を貫通させたい。陶然とした表情で言い切った、彼の言葉を思い出す。
尖ったものが乳房上を這い回り、乳首に近付く度に、恐ろしさで悲鳴が迸りそうになる。
彼の気配が、大きく動いた。
わたしから離れ、鞄をごそごそする音が聞こえてきた。
終わった…?
脳に痺れを感じる程、安堵する。
わたしのデジカメの起動音が聞こえた。
はっとする。
さっき、彼に写真を見せた後、SDカードの入れ替えをしていない。
だから空き容量が無くて、写真は撮れない筈。
彼のデジカメも、今日はメモリーが一杯だと言っていた。
空きのあるSDカードが、何処にあるか説明しようにも、彼が訊ねないという事は、情報を求められていないという事…。
彼の気配が、荒々しく近付いてくる。
いきなり、乳房をバラ鞭で激しく打ち据えられた。
絶叫した。
それは、今まで経験した事が無い、乱打と言ってもいい程の、打擲。
ふっ…ふっ…ふんっ…
鞭を振るう際の、彼の息遣いが聞こえる。
わたしの耳に届く程のその呼吸が、渾身の力で打たれている事を、知らしめる。
先刻までの静かな責めが、嘘のような、激しさ。
叫ぶ。
泣く。
暴れる。
身体が逃げる。
戻される。
打たれる。
叫ぶ。
泣く。
繰り返す…。
突然、アイマスクが外された。
逆さまにわたしを覗き込む、彼の顔が視界に入る。
表情は冷酷なままだが、責めの前の、滾るものを圧縮しているような、危険な色は落ちていた。
…泣いたか…?アイマスクが吸ってしまったのだろう、わたしの目元には、微かな涙の痕跡しかなかった。
小刻みに首を縦に振る。
瞳に満足そうな光が一瞬煌き、彼の表情はゆっくりと和んでいく。
あの目だ…。
出会った頃の…危なそうな目…。
その目つきも、やっぱりいいぞ…そそられる…。必死で助けを求めている目の事だろうか…?
考えているわたしの頬を、彼の掌が、優しく、優しく、撫でる。
その手が後頭部に移動し、ボールギャグが外された。
顎に、ぐきりと嫌な感触が走った。
約束だ。
復唱しろ。
『規則正しい生活』 きそく、ただしい、せいかつ…。 『家の掃除』 おうちの、おそうじ…。 『卵を減らす』 たまごを、へらす…。 守れよ? …はい よし。
ったく、お前は…本当に言うことを聞かん。
そういう奴は、身体に叩き込まんとな。彼は微笑むと、わたしを拘束しているロープを解き始めた。