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逝くか逝かぬか…

2008/05/12(月) 16:34:01
12回目の逢瀬から2日後…。

彼からメールで、バイク修理が出来たのでこれから取りに行く、と知らせて来た。
バイク屋からの帰りに逢えないか…とメールしてみる。
その日、わたしは仕事だったが、残業もなく帰れそうだった上に、四六時中でも彼に逢いたいという衝動が抑えられなくなったのだ。
返事が来た。
職場の前の公園に寄ってくれると言う。
それからは、終業が待ち遠しくて待ち遠しくて…職場の人からはわたしは、何時になく少し浮かれて見えたかも知れない。

仕事の後、わたしだけ職場に残り、公園で彼を待つ。
今、どの辺を走っているかというメールが彼から送られてくる。
それから判断すると、一旦帰って、着替えて出直すくらいの時間はありそうだった。
しかし、わたしは敢えて、そのまま待つ。
いつだったか彼が、わたしの職場での格好…つまり、制服姿を見たいと言ってたのを思い出したからだった。

周囲が暗くなり出した頃、漸く彼が到着した。
制服姿のわたしを見て、満足げに微笑む。

  着替えに帰ろうかと思ったけど、
  制服姿を見たがってたでしょう?


  ああ。
  制服のまま、仕事の時のテンションが
  残っているお前に、逢いたかった。


場所が場所だけに、いくら人気の絶えた田舎道とは言え、抱きついたり甘えたりは、さすがに出来ない。

  飯でも食うか。
  どっかいい店あるか?


  …んー…。

わたしは、思案する。
田舎故、それからの時間で食事の出来る場所が、かなり限られてしまうのだ。
心当たりはあったが、そこはわたしの家のすぐ近所。
職場の宴会で利用した事もあるお店だった。
けれども、そこ以外で食事の出来る店は、もう無い。
だからと言って、このまま別れるのだけは嫌だった。

結局、その中華料理店に行った。
お店の人間は、わたしの顔を知っている。
けれども、多少噂になったって構うことは無い。
どうせ夫とは、離婚するのだ…。

彼が、注文した炒飯をわたしにも分けようとして、ふと思いとどまる。

  さすがにマズいか。

同じお皿、同じレンゲで、当たり前の様に分け合うのは、確かにちょっと躊躇われる。
それでも、餃子は半分こして食べた。

お店を出た後、少し離れた道の駅まで、彼に伴走した。
バイクを停めると、わたしの車に乗り込み、ぎゅっと手を握られる。

  この辺は、まだ寒いな。
  お前の手、温かい…。


  あ、それじゃこれ、着ていく?

彼に、わたしのジャンパーを貸す。

  俺に着られるか?

  大丈夫でしょう。
  男物だし、わたしには少し大きいし。


  …ふむ、じゃあ借りていく。
  ところで…なあ、しのぶ。


  …はい?

彼が、何だか改まった雰囲気で口を開いた。
わたしは、微かに緊張して、彼の次の言葉を待つ。

  お前のブログやメールを読んでると感じるんだが…。
  お前は、俺とする度に、俺に逝って欲しいと思ってるのか?


  ん…うん…。

  なんでだ?

  だって…それが、玩具の役割だって気がするから…。

  …そうか。

彼が、わたしの肩を抱き寄せて、髪の毛を弄んだり、頭を撫でたりし始めた。

  それはもう考えるな。

  えっ?

  逝くか逝かないかは、俺が決める事だ。
  お前が考える事じゃない。
  お前がそんな風だと、俺は、お前とする度に
  逝かなきゃならん様な気にさせられて、愉しめない。


そう言えば、以前にも彼は、逝くのはあまり好きじゃない、と言っていた事を思い出す。
今までの経験から、男の最終目的は逝く事であると認識していたので、逝くのが好きではない、とか、逝くか逝かないか決めるのは自分、とかいう意見は、わたしにはとても斬新に感じた。
とは言っても、最優先されるべきは、彼がいかに愉しむかという事であり…。
その彼が、逝かなくても愉しいと感じるのであれば、わたしにはそれに対しての意見は無い。
彼から注がれれば注がれるほど、自分が彼の性処理玩具だと実感出来るから…だから、彼に逝って欲しいというのが、わたしの欲求ではあるのだけれど…。

  逝く事は…Tさんにとって、重要じゃないの…?

  重要なのは、俺が好きな様にする事で、
  俺が好きなのは、逝く事じゃない。
  お前が、俺に突かれて乱れに乱れるのを
  見ているのが好きなんだ。


例え逝かなくても、彼が充分わたしで愉しんでいるのであれば、わたしも嬉しいし満足だ…。

  だから、もう俺が逝くかどうかなんか、考えるなよ。

  …はい。

その日は、時間がかなり遅かった事もあって、口づけ以上の事は何ひとつせず、彼と別れる事になった。
家に着いたらメールすると言い残し、彼は道の駅から駆け去った。
その背中を見送りながら、わたしは、身体を合わせなくとも、彼と共に時間を過ごしただけで、大きな安心感に満たされている自分を、感じていた。