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椅子と拘束

2008/05/21(水) 00:20:22
15回目の逢瀬の時…。

彼が選んだホテルの部屋には、今まで見た事もないものがあった。
『ドリームラブチェア』という代物だ。

  何これ!?

と、驚くわたしを尻目に、

  これがあったから、この部屋を選んでみた。
  後で使ってみよう。


と、すまして言う彼。
とても好奇心の旺盛な人なのだ。

暫く、ベッドやソファで時を過ごした後、いよいよこの椅子を使う事にしたのだが…。

まずは、どういう動きをするのかチェックする。
あちこちが稼動するが、想像していた程の騒音は、無い。
男性椅子、女性椅子にそれぞれ座って、行為に臨む。
しかし…。
彼もわたしも、椅子の動きの方に気を取られてしまい、集中出来ないどころか、こみ上げる笑いを堪えられない。
その為に、双方とも、身体がセックスモードにならない。

驚いた事に、アダルトグッズのネットショップNLSさんではこのドリームラブチェアを販売していて、商品紹介の文章を読む限り、好評だったから扱っている様なのだけれど、少なくともわたしたちには、転げ回って爆笑するという以上のご利益は、無かった。

余談だけれど、NLSのサイトで『この商品を買った人は…』というのが出る、という事は…買った方が居るという事なのだ、と、更に驚いてしまったわたし…。
ホテル関係者だろうか…?

閑話休題。
この椅子の上でわたしは、どれだけフェラチオをしても、彼がまったく怒張しないという体験をする羽目になった。
如何に彼が、椅子の操作に気を取られていたかが判るというものである。
頭上から『へ~…』とか『なるほど…』とか降って来る彼の声と、その度に動きを変える椅子が可笑しくて、ペニスを銜えたまま、何度も吹き出してしまう有様…。

  まずは、この動きで笑ってしまわん様に
  ならんと使えんな…。


彼がそう結論を出し、わたしも同意する。

  それじゃ、別の使い方をするか…。

おもむろに、鞄から綿ロープを取り出した。
椅子にわたしを拘束しようというのだ。
そういう使い方を想定していないからだろう、確実に拘束できる箇所が無く、両手両足を縛り付けられた後も、わたしはある程度、身体を動かすことが出来る状態だった。

  使えねぇ。
  とことん使えねぇ椅子だなぁ。


笑いながらぼやく彼に、わたしも笑顔で、どれだけ手足に余裕があるか、動かして見せていた。

しかし、わたしが笑えていたのは、ここまでだった。

口に、ボールギャグがねじ込まれる。
髪の毛が掴まれ、椅子の背に頭を打ちつけられる。
背もたれを倒して寝ている状態のわたしの顔を、彼が逆さにのぞき込んだ。

  今日はちょっと仕置きをする。
  何故されるのか…理由は判っているな?


その声は、さっきまで笑っていたとは思えぬ程、低く濁り、凍てついていた。
表情も一変している。
それまでの笑顔の、欠片も見付けることの出来ぬ顔。
感情がごっそり脱落した、黒曜石の瞳。
微かに口元が歪んでいるのが笑みに見えなくもないが、それは、これからわたしを虐げることが出来るという、黒い愉悦のこもった残忍な笑み…。
彼のあまりの豹変ぶりに、わたしの呼吸が一瞬とまる。
お仕置きの理由…。
思い当たる事が、いくつかあった。

  …ふぁい…。

ボールギャグに阻まれて、ふざけている様な返事になるが、その声は震えているのが、自分でも判った。
こうして、3度目のお仕置きは、突然、何の前触れもなく、始まった…。