2ntブログ

スポンサーサイト

--/--/--(--) --:--:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

カーセックス...2

2008/05/01(木) 21:32:34
快楽を得る為に自分で動き…。
そこを彼に、下から突き上げられ…。
逝き続けたわたしは、ぐったりと彼にしなだれかかって、息を弾ませる。
彼の手が、わたしの背中から脇腹までを、ゆっくりと撫でている。
まだ彼に貫かれたままなのにも関わらず、そのまま微睡んでしまいそうな心地よさだった。
ゆっくりと動いていた彼の手が、突如わたしの髪を掴んで引っ張った。
ぼやけていた意識が、下されようとしている彼の命令に向けて、束の間、晴れ間を見せた。

  場所を代わって、後ろ向け…。

不自由な狭い空間で、ごそごそと体勢を変える。
シートに膝をつき、欲しがる牝猫のようにお尻を突き出し、ヘッドレストにしがみ付いた。
彼が、ゆっくりと入ってくる。
狭い車内だからか、彼の荒い息遣いもよく聞こえ、それがわたしの官能の火に、更なる油を注ぐ。
いつもの後背位とは違う刺激に、翻弄される。
湿り気を帯びた厭らしい音は、途絶えない。
薄く目を開けると、リアウィンドウが真っ白に曇っているのが見えた。
もしも誰かが通りかかったら、中で何をしているか、一目瞭然だろう。
それでも、わたしの脳には、理性が戻って来ない。
ただひたすら、彼自身の動きに神経を集中させ、浮遊しているような快楽に、そのまま身を浸し続けていた。

  こっち向け。

彼と、向かい合う形になる。
そして彼が、入ってくる…。
わたしは仰け反って、彼を受け入れる。

  動くな…。

彼が、低く囁いた。
返事をしようにも、喘ぐ様な声しか出ない。
小刻みに、こくこくと頷いた。
彼の抽送が始まる。
全身でそれに応えようとした時、

  動くな。

無意識に、腰を動かしていた様だ。
その後は…ジワジワと、炙られているかの様だった。
動いてしまわぬ様に、自分の身体を制御しようとすればする程、意識は彼の動きに占領される。
『動くな』と言われたから、動かない。
そのシチュエーションにも、脳が焼かれる。
官能が増す。
感じて、逝く。
逝き続ける…。

目が暗闇に慣れたのか、周囲の淡い光を受けて、彼の表情が見えた。
いつもの様に、真っ直ぐわたしを見据えている。
わたしの反応を、ひとつも見逃すまいとする瞳で…。

そう言えば、暗い中で交わるのは初めてだと気付く。
身体を重ねるのは、いつもホテルの部屋の中。
初めて逢った時から、照明を落として抱き合った事など無かった。
煌々と点った明かりの下で、愛撫され、縛られ、打たれ、貫かれ、逝かされていた…。

何度目なのか判らない痙攣に、全身を震わせた。
両腕を上げて、ヘッドレストを握り締めた。
上り詰めた高い場所から、ゆっくりと降下してくる。
車内に、二人の荒い呼吸音が満ちる。
彼が、身体を離して隣に座り、携帯電話を取り出した。

  …こんな時間だ。
  そろそろ帰ろう。


  え…。
  Tさん、逝ってない…。


  俺はいい。
  満足したから。


  …ごめんなさい。

  なにがだ?

  …逝って貰えなくて…。

  いいんだ。
  逝こうが逝くまいが、お前を抱くと、
  とても穏やかな気持ちになれる。
  それだけで、俺は満足なんだよ。

そう言う彼の顔は、本当に、穏やかな優しさに満ちた笑みを浮かべていた。
そんな顔で見られる事に、幸せを感じて…嬉しくなって、彼に抱き付く。

  ほら、服を着ろ。
  お前は明日、仕事早いんだろ?


  あ…そうだった。

暗い中、手探りで脱ぎ散らかした衣類を集め、身支度を整える。

そう言えば、途中から犬の事などほったらかしになっていた。
どうしていたのだろう?
見回すと、犬は、助手席に移動し、そこで丸くなって寝ていた。

  ○○(犬の名)…?

声をかけると、『やっと終わりましたか…』とでも言わんばかりの目つきでわたしを見上げ、ふて腐れた溜め息をついた。

  何その態度。

わたしが笑う。

  ○ちゃん、そんな処で拗ねてたのか。

彼も、笑った。