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2008/04/02(水) 08:41:00
ホテルに向かう車中、何を話したか、あまり憶えていない。
逢えた喜びと、お仕置きの予感とで、緊張していたのだと思う。
部屋に入ると彼は、真っ先にわたしの首に革紐を括り付けた。
ぐいっと引っ張り、鼻が舐められそうな距離にまで顔を近付けると、囁く様に言った。
これが付いてる間は、
俺の名を呼ぶことを禁止する。
…はい。
お仕置きの始まりだ。
全身が一気に緊張する。
突き放されるが、すかさず革紐を掴まれ、わたしの首が絞まる。
ぐっ、という様な声が、わたしの喉から漏れる。
頬をいきなり平手打ちが襲った。
俺のルール、もうひとつ憶えたな?
…はい。
再びぐいと近付けられる顔。
絞まる首。
囁く声。
なんだ?
言ってみろ。
…時間に、遅れません。
そうだ。
その声には、前に聞いた低く淡々とした声よりも、残忍な愉悦が滲み出している。
まるで、わたしを打つ機会がすぐに訪れたことを悦び、愉しんでいる様だった。
わたしも囁く様な声になっているのは、怯えの為に声に力を入れられないからだ。
彼はゆっくりとわたしの周囲を歩き、眺めている。
スカート姿、なかなかいいじゃないか。
初めて逢う前から、わたしは、スカートは全く持っていない事を話してあった。
スカート姿のお前に、後ろから思い切り
ぶち込みたいんだがな。
あ…1着だけある。礼服…喪服だけど…。
この度はご主人ご愁傷様でした…って、
それは洒落にならんだろ。
喪服ってのもそそられるが。
まあいい。
そのうち用意して貰おう。
以前そんな会話を交わしたことを、思い出す。
自分が女である事から目を逸らそうとした結果、スカートを身に着けなくなったわたし。
それが、彼に逢って初めて、自分で可愛らしげなワンピースを買って、外に着て出る様になった。
自分で自分の変化に、驚いてしまう…。
背後から乳房を鷲掴みにされ、激しく揉みしだかれる。
堪らず喘ぎ声を漏らすと、彼は身体を離し、わたしの前に回った。
今、どんな気持ちだ?
…怖い…です…。
怖いか。
彼が、ニヤリと笑う。
そんなにわたしを怯えさせるのは愉しいのだろうか、と思う様な、暗い悦びに満ちた、邪悪と言ってもいい笑顔だった。
髪を掴まれ、下に引っ張られる。
舐めろ。
その言葉で、お仕置きは数発の平手打ちで終わっている事に気付いた。
ペニスを、わたしの餌、と表現する彼は、お仕置きの最中に、わたしへの褒美になることは決してさせないからだ。
ほっとしながら跪き、ベルトを外す手間ももどかしく、彼のズボンと下着を脱がせてペニスにむしゃぶりつく。
充分にいきり勃った処で、再び髪を掴まれて立たされると、ベッドに突き飛ばされる。
両手をベッドにつく。
スカートが捲り上げられ、下着が剥ぎ取られ、彼が一気に入って来た。
あああーーーーっ!!
快楽の声なのか、苦痛の悲鳴なのか、自分でも判らない。
わたしの全感覚は、わたしの中で激しく抽送される彼自身の圧倒的な存在感に支配される。
髪を振り乱し。
身体を仰け反らせ。
獣の様な声をあげ。
今日も、始まった。
逝かされて、逝かされて、狂わされる時間が…。
2008/04/02(水) 20:43:13
服を着たまま、何度か彼に貫かれる。
逝かない彼とのセックスは、いつ終わるとも知れぬ、甘美な拷問だ。
どのタイミングで彼がわたしを突くのをやめるのか、判らない。
汗が流れ落ちても、彼の許しがなければ、服も脱げない。
どのくらいの時間、貫かれていただろうか…。
彼の命令通りに体位を変え、服を脱ぎ、いつの間にかわたしは、首の革紐を残して全裸になっていた。
達し続けて、もう声を上げる事も出来ない。
力の入らない身体に鞭打って、彼の抽送に必死で動きを合わせる…。
少し休むか。
彼が、わたしから抜け去り、ミネラルウォーターのボトルを手に取る。
口移しで水をたっぷり飲まされた後、わたしはぐったりと彼の横に寝そべった。
彼も、ゆったりと身体を伸ばし、わたしを抱き寄せる。
これが付いている間は…あなたを
何と呼べばいいですか?
そっと首の革紐を指でなぞる。
彼が、はっと身体を起こした。
外してやる。
首から枷が、外された。
今日も仕置きしてやるつもりだったのに、
お前のスカート姿を見たら、怒りが半減した。
そう言って、無邪気な笑みを浮かべる彼。
…スカートなんか、何十年ぶりって勢いで、
凄く恥ずかしかった…。
プライベートでスカートを穿いたのは、20年ぶりくらいか。
礼服ならその間数回着たが、くるぶしまであるスカート丈なので、あまりスカートだと意識しないで済んでいる。
なかなか似合ってたぞ。
そそられた。
ほんと?
うん。
わたしは起き上がって、彼にキスをする。
嬉しい時、幸せな時…獣の様に、身体を使って表現するのだ。
彼の、応えのキスを受けた後、再び横になって話題を戻した。
わたし…Tさんを『ご主人様』とは
呼びたくないな…。
ああ、俺もそうは呼ばれたくねえ。
間髪入れずに、彼が答える。
どうして?
何か…軽く聞こえるんだ。
わたしは考え込む。
世のM女性たちの中には、自分の相手を『ご主人様』と呼んでいる人も、少なくない。
その人たちのブログなどを読んでいれば、その女性が本当に真剣な気持ちで、心から『ご主人様』と呼んでいる事は、よく解る。
けれどもわたしにとって、彼は『ご主人様』ではないのだ。
例え、同じソファに座る事が出来なくなっても。
無意識に敬語を使って話していても。
彼は、わたしにとって、もっと違う存在だ。
言語化が非常に難しいのだけれど…。
そんな彼から『ご主人様と呼べ』と言われたら、きっとわたしは落胆しただろうと思う。
しかし彼も、『ご主人様』という言葉には拒否反応を示した。
彼とは、非常に感覚的なものを共有している…。
そういう気がして、嬉しくなった。
ま、何と呼ばれたいか、考えておく。
それからな。
彼の、声の調子が変わった。
彼も、何事か考え込んでいた様子だ。
思考を打ち切って、別の話題に転じようとしている。
厳密に言えば、時間が遅かった事に
怒ったんじゃない。
お前は、お前が目覚めた時間に起きて、
こっちに来ればいいんだ。
お前にも、体調や都合があるだろう?
…うん。
俺が、むかっとしたのは、
『寝過ごした』だな。
何故か解るか?
…緊張感が、足りない?
そうだ。
…ごめんなさい。
今回は許す。
先週はお前、忙しそうだったしな。
疲れてただろう。
もともと彼とは、待ち合わせの時間を決めていた訳ではない。
それなのに、時間が遅かったから怒る…というのは、多少理不尽ではないか、と感じる部分も、わたしの中にチクチクと残っていた。
その棘が、彼の言葉で氷解していく。
じゃあこれからは、本当は寝過ごした時でも、
それは言わずに『これから行くよ』だけでいいの?
ああ。
言わんでいい事は、わざわざ言うな。
…じゃあ、今日のはわたしの自爆だったのね…。
そういう事だ。
お前がスカートじゃなかったら、
間違いなく仕置きしていた。
スカート効果、恐るべし…。
そんなに彼が悦んでくれるのなら…醜い40女のめかし込んだ姿など、周囲にとっては害悪だろうが、彼が『似合う』と言ってくれるのなら…。
もう少し、女らしい格好をしても良いかも知れない。
そんな事を、ぼんやりと考える。
さて…と。
彼が起き上がった。
縛るぞ。
わたしも頷いて、身体を起こした。