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家......(5)

2008/07/28(月) 11:10:12
朽ち果てたい。
この家で。

一度言語化してしまった願望は、本当に言霊が宿りでもしたかの様に、日に日にその存在感を増してゆく。

けれども、今ここでわたしが自殺などしてしまったら…。
母親は間違いなく、その責任を、夫や夫の家族に擦り付けるだろう。
そしてそれを糾弾する為なら、手段は選ぶまい。
そんな迷惑をかける事は、出来ない。
わたしは、夫やその家族を憎んでいる訳ではないのだから。

それに…。
わたしは、時折入る、妹からのメールを見る。
子どもの成長を報告してくる、能天気なメール。
『またその内、ゆっくり会おうよね』
わたしが自殺してしまったら…少なくともこの妹は、凄まじいショックを受けるに相違ない。
そんな傷を、妹に与えたくない。

けれども…最早呼吸をしているのも、苦しい。
空気が、苦い…。

わたしは、どんどんネットゲームに没頭していった。
ゲームをしていない時は、読書に没頭した。
ともかく思考を現実から切り離し、自身の生死について考えない為、逃避に逃避を重ねた。
そうしながら、生きる為に生産的なことをしようとしない己を軽蔑し、憎悪する。
死んでしまえば良いのにと思う。
でも死ねない……。

思考は、無限ループにはまり込む。

本当に、地獄のような、日々だった。


こんな状態のわたしが、自分の存在する環境に意識を向け、快適に過ごせるよう気を配れる筈もない。
家は、筆舌に尽くしがたい状態となり、とてもではないが人間が生活出来る空間とは言えなくなり、わたしより先に腐り落ちてしまいそうになっていた。


やがてわたしは、夫の手配で、以前通っていた心療内科に再度通院する事となった。
死ぬ訳にいかぬなら、まずはわたしの心を雁字搦めにしている鎖を撤去する作業に入らねばならず、その為には病院に通うしかない。
わたしの中の微かな理性が、通院を承諾させた。

薬を服用し始めた事で、表面的には少し落ち着きを取り戻し、再就職も果たす事が出来た。
けれども、家の惨状は、どうする事も出来なかった。
もともと片付けられない上に、片付ける気など皆無の状態で過ごしていた家だ。
今更片付けようにも、どこからどう手を付ければ良いのかすら判らない。

家の片付けを彼に約束させられたものの、作業は遅々として進まず、現在に至っていたのだった…。