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その時から、夜毎メッセンジャーで会話する日々が始まった。
同じパーティで知り合った人たちと会話する傍ら、Sが私に個人的なメッセージを飛ばして来る。
わたしが、自身の被虐嗜好を意識した、
最初の会話も、そんな中で交わされた。
わたしにとって、このパーティメンバーとの会話は、正直なところ、そんなに楽しいものでは無かった。
共通の話題はゲームの話しか無く、それが尽きれば、大人数が好き勝手な事を発言する、単なるじゃれ合いになる。
現実世界においても、大勢でわいわいと過ごすのがあまり好きではないわたしにとって、そうなった時間は、その殆どが苦痛なものでしかなかった。
どうせ会話するのなら、脊髄反射の応酬の様な冗談の飛ばし合いではなく、もっとゆっくり何かについて話す事の方を、わたしは好んだ。
だから、只賑やかなだけの状態になると、わたしは遠慮なく会話から退席してしまう。
あっちはもういい。疲れた。
そう言って、Sとの会話だけを続行する。
何だお前、付き合い悪いな。 うーん…
ああいうノリには、着いていけない。 相変わらず真面目な奴だな。
こういう軽い会話を楽しめる様にならにゃwSは、近々催されるこのゲームのオフ会に、わたしを誘い出そうとしていた。
この地区の連中も、みんなこいつらみたいな
気楽に付き合える奴らだから、お前も来い。夫からの離婚を言い出されて以降、病院に行く時以外で日のあるうちに外出する事など、絶えて久しいわたしには、到底応じられる話ではなかった。
それは無理だな…。
遠慮しておく。 なんで?何が問題だ?
楽しいぜ。 仕事が、忙しいと思う。 自営で、割と時間の自由が
利くって言ってたじゃん。
1日くらい、どうにか出来るだろ。ゲーム内で申告していた偽りのプロフィールだった。
問い詰められて、オフ会参加を断る理由を出せなくなったわたしは、ついにSに打ち明けた。
実は…働いてるってのは、嘘。
ちょっと体調を崩して、今は無職なんだ。 え。どこが悪いんだ? ちょっと、精神的に、ね。ここで、馬鹿正直に答えたわたしは、きっと、誰かに自分の事を話してしまいたかったのだと思う。
誰かに、聞いて欲しかったのだと思う。
ウツか。 ん、まあそれもなんだけど、
直接的には、注意欠陥障害ってヤツでね。
知ってる? ああ。それ、俺も。意外な返事が、あった。
えっ? 集中力がコントロール出来なくて、
片付けられないってヤツだろ。
俺もそうだよ。 ええーっほんとに!? マジマジ。
これ、中々周囲に理解されなくて、
ツラいよなあwww
ま、俺はウツにはかからずに
上手く折り合ってるけどさwわたしが、この言葉をあっさり信じたのは、彼のゲーム中や会話中の態度で、思い当たるふしが見受けられたからだった。
そうであるなら説明がつく…と思ったのだ。
初めて、わたしの辛さを理解してくれる人に会えた…。
そう思った途端、わたしは、パソコンの前で、溢れる涙を止める事が出来なくなった。
そうなの…。
なかなか理解して貰えない。
だもんで夫に離婚言い渡されちゃってさ。
ショックで引き篭もりになってるのw あらー、そうだったんか…
まあ俺も別居中なんだけどなw他人の前では、この人何だかおかしい…と思われたくない。
精一杯取り繕って、何ともない顔を、していたい。
でも、それではあまりにも辛い。
誰かに理解して欲しい。
でも、誰も理解出来る訳がない…。
そういうわたしの中の終着点の無い感情を、やっとの思いで堰き止めていたものが、一気に瓦解した瞬間だった。
この時わたしは、Sの前で完全に、自分を曝け出してしまったのだった…。