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10回目の逢瀬。
持参したシャンプーとリンスで、彼の髪を丹念に洗う。
今夜、彼は、わたしと同じ匂いをさせながら眠りに就く…。
そう思うと、とても嬉しい。
全身を洗い終わった後は、わたしが彼に洗われる番だ。
今日は髪も洗うのか? うん、その為に自分のを持って来たんだもん。
ホテルのシャンプーは、髪がきしきしするから。 そうか。彼の身体から、ゆらりと黒い愉悦が立ち上ったように感じた。
そう言えば、以前「
水責め」をされた時も、髪を洗った後だった…。
…縛る、の…?恐る恐る訊ねると、彼は、ニヤ~ッとゆっくり笑った。
いいや。
だが、別のものを準備している。浴室のドアを開け、脱衣カゴの中から取り出したもの…。
ボールギャグだ。
い…いつの間に…。 ふふっ…。彼は、残忍な笑顔を浮かべたまま、ボールギャグをわたしに装着する。
冷たさの中に、わたしを虐げる悦びが熾火のようにチロチロと見え隠れする、独特の笑顔…。
この顔をされると、わたしの身体からは力が抜け、怯えを感じながらも何処かが蕩け出すような、複雑な感覚に支配される。
突然、顔面にシャワーを浴びせかけられた。
全く予想外の行動だった。
手で顔を覆って遮れば良いものを、わたしの手は、まるで縛られてしまったように動かすことが出来ない。
鼻に水が入り、水泳の飛び込みに失敗した時のような鼻の痛みが襲ってきた。
閉じることの出来ない口にも、容赦なく湯が入ってくる。
噎せながら、彼の為すがままになっている。
シャワーの水流が顔から離された時、無意識に手で顔を擦った。
(鼻、痛い…) 鼻?
水が入ったか?彼の声の調子から、感情の動きがごっそり抜け落ちている。
痛いか?そう言いながら、ボールをわたしの口の中に捻じ込む。
わたしが『痛い』と言った事を、敢えてやっているのだと気付く。
(い…痛い…) そうか。無感動に言い、再びシャワー。
噎せるわたし。
シャワーが外され、髪を引っ張られて喉を反らされる。
そこに彼が唇を重ねてきた。
ボールを更に奥へ奥へと捻じ込むようなキス。
彼の唇と、ボールギャグが食い込む痛み。
柔らかい。
痛い。
気持ちいい。
痛い…。
突然、彼が息を大きく吸い込んだ。
驚いて、目を見開いた。
わたしの肺から、空気が吸い出される。
(んうう…)ボールギャグの穴から、空気が勢いよく通る音が響く。
口の全てを塞がれている訳ではないので、苦しいという事はない。
けれども、自分の意志と関係なく肺が萎んでいく感覚は、なんとも不思議なものだった。
そんな事を繰り返して遊んだ後、彼がボールギャグを外し始めた。
今度は、わたしの顔をしっかり見ながら外す。
水と涎の混じった液体が、わたしの唇から糸を引いて滴った。
無感動だった彼の表情に、悦びが湧き上がる。
解らない。
やっぱりよく解らない…。
それでも、彼が嬉しそうにしているから、きっとそれでいいのだと思った。
わたしが理解する必要は、ないのだ。
大事なことは、彼が愉しむということ…。
彼の悦びがわたしの悦びである以上、行為の意味が理解できなくとも、彼のやることを全身で受け止め、それに対して素直に反応すること。
それが一番、重要なのだ。
その後は、普通に全身を洗われて、入浴タイムは終わりを告げた。