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レッテル

2008/03/29(土) 14:58:03
母親は常々、わたしに『女の子らしくしなさい』と言っていた。
近所の少年たちと、野山を駆け巡る山猿の様なわたしを嘆き、野球や空手を習いたがるわたしを嘆き、女の子らしい習い事をさせようと、躍起になっていた。

それが、初潮を迎えて以降、変化した。

わたしは、髪の毛に癖がある。
長さによっては、寝癖にしか見えないはね方をする為、朝、鏡の前で母親のドライヤーを拝借して苦心していると、飛んで来て叱責される。
『たかが学校に行くのに、何をめかしこんでるの!
 そんなに男の目が気になる訳?』
わたしが鏡の前に立つ事を、母親は、極端に嫌がった。

そのくせ、『女の子なんだから』という理由で、家事を手伝わせる。
母親は、完璧主義者でもあった。
食器洗いや部屋の掃除を言いつけられ、それを遂行しても、どこか一箇所でも完璧に出来ていなかったら、何度でもやり直しをさせられた。

そのやり方は、狂的だった。
夕食後の食器洗いを言い付けられる。
洗っただけだと、不合格だ。
きちんと拭いて、食器を片付けていなければならない。
今度は、食器を拭いて片付ける。
それでも不合格だ。
ガスコンロに残った鍋を洗っていないからだ。
次は、鍋も洗って片付ける。
また不合格。
ガスコンロを磨いていないからだ。
その次は、流し台に飛んだ水滴を拭いていないから不合格。
その次は、中身の残った鍋を放置していたから不合格。
永遠に合格点は、出ないのだ。
しかも、この手順を前もって教えられている訳ではない。
母親がやっている事を見ていれば、きちんと出来て当然なのに、それが出来ないからと言って叱責される。
洗い方が悪くて、汚れの残った食器など見つかろうものなら、とんでもない事になった。
食器棚の中の全ての食器を出して、綺麗に洗い直しをさせられていた。

『完璧でないのは、何もしていないのと同じ。』

それが母親の言い分で、何度やらせても完璧に出来ていないという理由で、わたしは『何をやらせても出来ない駄目な子』と言われ続けた。

ここに更に、わたしの先天的な障害が絡んでくる。
わたしの障害は、興味の持てない事はとことん出来ない、というものだ。
手順を覚えることすら出来ない。
その代わり、興味のある事ならば、1回見ただけで手順などを全て記憶する事が出来る。
凄まじい集中力を見せて、何時間でも没頭していられる。
その能力差はあまりにも極端で、周囲には、故意にやっているとしか思われないのだ。
わたしの場合、家事に対して興味を持てない事は、非常に不運だったとしか言いようが無い。

女らしく家事を完璧にこなすことは出来ないくせに、見た目ばかりは一人前に気にする、男好き…。

それが、中学・高校時代のわたしに母親が貼った、わたしのレッテルだった。



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