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怒る...(1)

2010/01/21(木) 00:56:06
元夫との離婚が成立してから暫くして、ついに、Sとの関係において決定的とも言える出来事があった。

当時乗っていた車のローンが支払えなくなったので、乗り換えて欲しいと、元夫から連絡があった。
査定価格から、ローン残を差し引いた金額で買える車を、探さなくてはならない。
わたしがローンを組む事は、出来ない。
元夫の自己破産が成立すれば、わたしも連鎖破産せざるを得ないからだ。
諸々の事情もあり、次の車を入手するまでの猶予は、3週間弱……。

わたしの住む地域は、冬になれば、当たり前に積雪や凍結に見舞われる。
車でなら片道20分の職場は、公共の乗り物を使うと片道3時間にもなる上に、バイク通勤は禁止されている。
限られた予算内で、それなりの性能の車を、大至急探して手に入れなくてはならない。

連日、ネットで中古車情報を当たっては、電話等で在庫確認をして…という作業に、追われ始めた。
良さそうな車を見つけ、連絡を入れると、もう売れたと言われて落胆する。
そんな毎日を、過ごしていた。

  次の車は、何にする予定だ?
  予算は?
  俺も、別ルートで当たってやる。


  え…いいんですか?

  ああ。
  お前の車、即ち俺の車だ。
  だから手伝ってやる。


  ……ジャイアンですか…。

という様なやり取りがあり、彼も、車探しに協力してくれていた。


そんな時、Sから連絡があった。
仲間内でパーティを立てる企画があるから、それに参加しろ、との事だった。
そのゲームを嗜む者にとっては、記念的イベントになる為、状況さえ許せばわたしも、多少夜更かしになろうとも、大いに参加したいバトルではあった。
けれども、そんな事を言っている場合では無い。
メッセを立ち上げ、Sに繋ぐ。

  ごめん、すごい参加したいけど、
  今、そんな状態じゃないんだ。


  ん、どうした?

  実は、これこれこうで……。

  あらー、それは大変だなぁ…。
  じゃあさ、やっぱ参加するっきゃねえって。


  は…?

  そういう大変な時こそ、息抜きが必要だろ。
  楽しい事して、ぱーっと元気出さんと。
  な、だから、参加しろ!
  いいな!


わたしの奥歯が、ギリッと音を立てた。

  あのさー…。
  本当に、ゲームしてる場合じゃないの。
  次の車を見つけるので、精一杯なの。
  車無いと、仕事もどうなるか判らない程の状況なの。
  だから、無理。
  悪いけど。


  んだよー。
  へタレ。
  根性なし。


この時、S本人が目の前に居たら、わたしは、微塵の躊躇も無く、その顔面を拳で殴っていただろう。
けれども、目の前にあるのは、残念ながらPCのモニターだ。
やっとの思いで、怒りに震える手で、返事を打つ。

  生活の基盤をブチ壊されそうな時に、
  ゲームで、どう根性を見せろと?


  やーいやーい、根性なしーw
  弱っちいのぉwww


メッセンジャーでの会話では、無理も無い事ではあるが、Sには、私が本気で切れた事が、全く伝わっていない様だった。

  根性なしで結構。
  それじゃ、忙しいからこれで。


会話を打ち切り、メッセを落とす。
気持ちを切り替えて、中古車情報検索に戻ろうとするが、手の震えが、止まらない。
この時、Sの言う「息抜き」とは、わたしの息抜きではなく、自分の息抜きの事を言っているのだ、と認識した。
自分がやりたい事を、わたしの為を思っての事だとすり替えて、その上に押し付けて来ているのだ、と。

怒りがおさまるまで、拳を握り締めて、家の中をウロウロする。
暫くそうしていて、ふと気が付くと、犬と猫が、ウロウロするわたしにパタパタと着いて回っていた。
それを見て、思わずぷっと噴き出し、ひとしきり笑った後、わたしはPCの前に戻り、作業を続けた。


  おい、この車、どうだ?

数日後、彼から、写メールが送られて来た。
その車の情報を見て、驚いた。
丁度、ネットで検索していたわたしが目を留め、ショップに当たろうとしていたのと、同じ車だったのだ。

  そうだったか。
  外から見た状態は、割といいぞ。
  車検切れだが、受けても予算内に納まるだろう。
  タイヤの溝の状態も、いい。
  当分買い換えずに済むと思う。


タイヤの溝…。
わたしは、そこまで考えていなかった。
そんなところまでチェックしていてくれた彼に感謝しながら、すぐにショップに連絡を入れる。

最終的に、この時の車が、現在のわたしの愛車となった。
彼は、出先で中古車屋を見かける度に、わたしの希望する車種がないか、あればどんな様子かを、チェックしてくれていたらしい。
そして、これはと思う車を見付けた。
ほぼ同時期に、ネットでわたしがその車を見付け、そして押さえる事が出来たのは、本当にタイミングがいいとしか言いようが無かった。


離婚後の最初の危機を何とか乗り越え、ひとまずほっとした私は、メッセを立ち上げた。
Sから、メッセージが飛んでくる。

  お前さ。A(他のゲーム仲間)に、
  イベントバトルに参加出来ないって
  ちゃんと言ったか?


  ん?
  Aさんなら、前にお誘いのメール来てたから、
  参加出来ないって返事しておいたけど?


  それだけかよ。
  ちゃんとメッセでも謝っておけよ。


  え?
  メール、届いてなかったの?
  Aさん、わたしの不参加、知らないの?


  いや、それはわからんけどさー。
  誘ってくれた人には、直接謝るのが礼儀だろうが。


  直接って…。
  メールもメッセも、同じ様なもんでしょ。
  メールだと失礼って事では、ないと思うけど…。


  はあ?
  メールでもメッセでも、謝罪するべきだろう。
  友達と言えども、礼儀は守らにゃ。


わたしは、眉を顰める。
こうしてわたしにお説教してくるという事は、先日わたしが本気で怒ったのに、全く気付いていない…という事だろう。
丁度そこに、話題のAさんがサインインして来たので、わたしは彼女にメッセを飛ばした。

  Aさん、お久しぶりー。

  あ、しのぶさん、こんばんはー。

  こないだはさ、せっかく誘ってくれたのに、ごめんね。
  何か今、すごい忙しくてさ。
  イベントだったし、残念だったんだけど。


  いやいや、忙しいならしょうがないよー。

Aさんは、礼儀知らずだとわたしに怒っている様子は、無かった。

  今、Aさんと話してる。
  改めて謝っておいた。


  ん、よしよし。

  Aさん別に怒ってなさそうだけど。

  怒ってるからとかじゃなく、
  こういう事は、メールでもメッセでも、
  ちゃんと謝るのが礼儀だろ。
  俺の言ってる事、おかしいかなぁ?


いや、おかしくないよ、ごめんね、とわたしが言うのを待っている…と感じたので、期待通りの返答をするのは、止めておいた。

  さあ?
  少なくとも、わたしと考え方が違うのは、確かだね。
  わたしは、お誘いメールに丁寧に返事した段階で、
  礼儀は尽くしたと考えてるから。
  わざわざメッセでも謝らなきゃいけない、とは思わない。
  今日みたく、たまたま会って会話すれば、もう一度謝るけれど。


  ともかくさ。
  お前が参加すると思って、
  楽しみにしていた奴らが居るんだから、
  皆にちゃんと謝ってやれよ。


この時何となく、Sは、参加メンバーに「俺が呼べば、しのぶは必ず来るからさ」と大見得を切ったのではないか…という気がした。
でなければ、わたしがゲームに参加出来ない事を、どうしてこういう風に詰られるのか、理解が出来ない。
わたしは溜め息をつき、ゲーム専用SNSにアクセスした。
Sの言う事はともあれ、このイベントのバトル結果を知りたいと思ったのだ。

だが、そこでわたしは、更なる怒りに見舞われる……。







怒る...(2)

2010/01/21(木) 03:02:38
久しぶりにアクセスしたゲーム専用SNSで、Sのゲーム日記を読み、わたしは、言葉を失った。

───今度のイベントバトル、しのぶは参加できんらしい。
     俺は、あいつのリアル事情を殆ど知ってるが、
     それでも何とか参加して欲しいんだよなぁ…
     どうにかならんかなぁ…────

この日記に、コメントを付けているゲーム仲間も居たが、その内容は記憶にない。


以前わたしは、Sに、俺は色々知ってるぞ、と仄めかす様な真似はやめてくれ、と言った事がある。
この時にも、わたしの本当に言いたい事は伝わっていないと感じたが、この日記を見た時は、その行為に何故わたしが不快感を表明するのか、Sが理解出来るまで、とことん食い下がれば良かった…と、心底後悔した。

メッセに出て来たSを、捕まえる。

  ちょっと話がある。

  あ?どした?

  〇日のSさんの日記を読んだ。
  何で、あんな事書いたの?


  別に?
  何も考えずに書いた。
  なんかまずかった?


「何も考えてない」
この言葉を、Sはよく使った。
何も考えてない、と言われると、そこから先、どう話を続ければ良いのか、判らなくなってしまう。
けれど、「じゃあしょうがないねー」で許す訳にいかなかった時は、「ちったぁ考えて行動しなよ」と、それまで何度、言っただろうか。

  ああ…また、それか。

  なに、怒ってんの?

  あのさ。
  わたしが、誰かから相談を受けた時は、
  相談内容を誰にも言わないのは勿論、
  相談を受けた、という事も、
  誰にも言わないんだよ。


  うん。

  何でか解る?
  相談されたって誰かに言ったら、
  その子が、人に相談したくなる様な
  事情を抱えてるって事は、バレるから。
  だから、言わないの。


  なるほど。

  でもSさんは、それを、言うんだね。
  俺だけは知ってるんだけどって、
  言うんだね。
  わたしは、知ってるって事すらも、
  誰にも言って欲しくなかった訳よ。


  あー、そういう事か。
  ごめんなさい。
  あの日記は、すぐに消す。


  消して、どうなるの?
  もう皆読んでしまった後なのに、
  無意味じゃない。
  それに、消した事に気付いた誰かが、
  わたしとSさんの間で何かあったんではって
  心配するかも知れないでしょう。
  だから、それはいい。


  いや、俺が悪いんだから、消す。

  いや、だから消すなって言ってんの。
  心配する子が居るかも知れないでしょう。


  …はい。

  Sさんはさ、よくわたしに、
  お前だから話すんだけどって、
  色んな子の色んな事教えてくれたけど、
  わたしの話も、あんな感じで誰かに
  話してるの?
  わたしの事情、知ってる子居るの?


  言う訳ないだろ!
  俺を見くびるなよ。
  お前だけに決まってんじゃん。
  お前だから、話してたんだよ。


見くびるなと言われても、経験上、あなただから話すんだけど…という前置きを付ける人間は、この「あなただけ」があちこちに居るものだった。
もう、信用出来ない。
Sに、何もかも相談していた事を、激しく後悔する。
己の見る目が曇っていたのだ…という自己嫌悪が、押し寄せる。

  ごめん。
  考えなしで、ごめんなさい。


Sは、神妙な文面で、謝罪してくる。

本当に、考えなしの行動なのだろうか?
わたしには、そうは思えない。
この日記の裏に、皆のリアル事情を相談される俺、信頼されてる俺、という優越感が、見え隠れしてしまう。

  ごめんなさい。
  もうお前の事情は、聞かない。


え…?
それは、何か違う。
わたし以外の子から込み入った話をされて、他の子の前で「俺は知ってるぞ」という態度を取る事そのものを、改める気は無い…という事だろうか?
それとも、相談事をされれば、相談されたという事だけは、誰かに話さずにはいられない…という事だろうか?

  いや…それはまぁ、わたしも話すと思う。
  Sさんだって、事の顛末がどうなったか、
  結果を聞かされないと、気になるでしょう?


  うん…ごめんなさい。  
  俺、お前の信頼を裏切っちまったのかな…。


そんな事ないよ、と言って欲しいのでは、という気がした。
だから、それには答えなかった。

  まぁ、あの時のわたしには、
  何もかも話してしまえる人は、
  必要だったと思う。


  そっか…。

  彼に出逢う事も、出来たし。

  俺も…
  こんな風に俺を叱ってくれる奴、
  そうそう居ないよ。
  やっぱり俺にとってお前は、
  かけがえのない友達だよ。


失笑した後、脱力する。
やっぱりわたしが本当に言いたい事は、伝わっていないと感じた。
けれども、もう、どうでも良い。
この時わたしは、Sとは距離を置く事を、決意していたからだった。

  でもさ。
  普段は、言いたい事を言えずに、
  心の中に溜め込んで、挙句壊れるお前が、
  俺にはこうしてガンガン言ってくる。
  これって、すげーいい傾向なんじゃね?
  俺を相手に、言いたい事ちゃんと言う
  練習をすればいい。
  そして、薬なんか飲まなくてもよくなればいい。


わたしの顎が、ガクンと下がった。
背筋を、冷たいものが駆け上る。
これは…ポジティブ・シンキングと呼んでいいものじゃない。
物事を、自分の都合の良い様に解釈しようとしているだけではないのか。

Sとは距離を置こう、という決意を、再び強固なものにして、わたしはその日の会話を終えた。







普通…?

2010/01/21(木) 06:49:37
わたしは、彼の部屋で、ベッドに横になって眠っていた。
仕事に行っていた彼が帰宅したのにも気付かず、ぐっすりと眠っていた。

顔の前の空気が、大きく動く。
鼻腔に、お湯の匂いと石鹸の香りが、流れ込んで来る。

彼が帰宅して、入浴も済ませたのだな…ということを、
言語化出来ぬほど漠然としたイメージで認識したその瞬間、
髪の毛を鷲掴みにされ、口に何かが捻じ込まれる。

この時、咄嗟に防衛しようとして、
逃げようとしたり口をぎゅっと閉じたりしないのは、
そこが、彼の部屋で、漂う香りが、
彼の愛用する石鹸の香りだからだろうか。

口に入れられたものを舌と唇で探り、
それが彼のペニスである事を知る。

身体を少し起こし、口での愛撫を続ける。

目を開けて視線を上げると、
髪の毛からまだ水滴を滴らせた彼が、
無表情でわたしを見下ろしている。

  …おあよ。おはえりなはい。

ペニスを含んだまま、モゴモゴと言うと、
彼は、口元をちょっと歪めて微かに笑う。

わたしは、フェラチオに没頭する。
わたしの意識が、段々覚醒していくのと比例する様に、
彼自身が、硬く、太く、熱く、漲り始める。
それでもわたしは、しゃぶるのをやめない。
彼に教えられたやり方を駆使して、
愛撫し続ける。

彼の手が再び、わたしの髪を掴む。
引っ張られ、じゅぽんっという音と共に、ペニスが引き抜かれる。
わたしに挿れたくなったのだ。
素早く、ジャージのズボンとパンティを脱ぎながら、
床に仰向けになる。

フェラチオをしている間に、わたしの陰部は
すっかり濡れそぼっている。
彼が、突き立てる。
めりめりと音を立てそうな感触に、仰け反る。
一番奥に到達した瞬間、わたしの全身が、痙攣する。

そこからは、最早拷問と言っても良い。
わたしが何度達しても、彼の抽送は、とまらない。

  声がでけえぞ。
  隣に聞こえる。


低く濁った声で囁かれ、はっと一瞬だけ意識が固形化するが、
またすぐに、どろどろと崩れ、蕩けてしまう…。

  あ…あぁ…もう駄目…逝く…逝く…っ
  お…っお願い、もう…もう…あう…んっ…


どれだけ懇願しても、彼はやめない。
わたしは、待つしかない。
彼が、逝く気になるか、責めるのに飽きるかを…。

終わりも、唐突にやってくる。
勢い良く彼が身体を起こし、
ペニスも、湿った音を立てて引き抜かれる。

  せっかく風呂入ったのに、
  お前のマン汁で汚れちまったよ。


呟きながら浴室に向かう彼の背中は、
ぼんやりと霞んで見える。
責めが終わった安堵で弛緩したわたしは、
動く事も出来ずに、そのまま再びうとうとする。
シャワーを済ませた彼に、「どけ」と蹴られるまで……。


彼とわたしのセックスは、大体いつもこんな調子だ。

デリヘルの仕事を始めるに当たり、フロントの男性が
簡単な手順を説明してくれた。
それをわたしは、復唱したりメモを取ったりしながら、聞く。

  そんなに緊張しなくていいよ。
  彼氏、居るんでしょ。
  いつも彼氏としている事を、すればいいから。

  え…彼と…ですか。

  そう。普通にセックスするだけ。
  勿論、本番は駄目だけど。

  ………。

まさかここで、普通のセックスは判りません、などと言う訳にはいかない。
彼以外の男性とのセックスなど、すっかり遠い過去に成り果てていて、思い出す事も出来ない。
ネットで動画でも観て、勉強するしかあるまい…。

そっと、嘆息する。

わたしのデリヘル生活は、前途多難な幕開けとなった。




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