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憎悪...(1)

2008/06/21(土) 11:38:36
母親から、父親と離婚したいと相談を受けていた時。
わたしは、父親に対するあまりに酷い罵詈雑言に逆上し、怒鳴り散らしたことがある。

『あんな人でもわたしの父親だ。
 それをちっとは考えてモノを言えよ。
 それにあんただって、
 あーだこーだ言いながら、
 これだけガキ作って産んでるだろうが』

その途端、母親は泣き出した。

『あれはレイプだったの…』
『はあ?』
『あんたたちは、あの男にレイプされて出来たんだよ。
 私は嫌がったのに、あの男が無理やり…』

たちまち号泣し始める、わたしを産んだ女。

わたしは、絶句した。


そう言えば『レイプ&マリッジ』って映画、あったっけ。
リンダ・ハミルトンは好きだし、観ようと思ってたけど、結局観てないなぁ…。
まだレンタル出来るのかなぁ…。


わたしの脳裏を過ぎった思考。
他人事のようなこの反応は…わたしが、大きな衝撃を受けたことを意味する。

『…わたしたち全員、レイプされて出来た訳?』
『そうなのよ…酷かったのよ…』
『流産も経験してるって言ってたよね。
 それもレイプの結果ですかい?』
『そうなの…』


両親は…わたしを愛していないのではないか。
そんな想いを抱いたことは、何度もあった。
その疑問に対する回答を、やっと得られた様な気がした。

『産んでもらえた事に感謝しなさい』

幼い頃から、よく言われていた。
思春期に差し掛かった頃に言われた時は、
『勝手にヤって勝手に産んどいて、
 何抜かしてやがる』
と反発を覚えていたものだ。
あれは、そういう意味だったのかと、納得した。


五体満足に産んでもらえた。
身体だけは頑丈で、大きな病気ひとつせず育ってきた。
これだけでも、両親には感謝しなくてはならないことだ。

教育も、受けさせてもらえた。
県外の私大にまで、行かせてもらえた。
これは、大いに感謝しなくてはならないことだ。

それが、望まない妊娠だったのに産んでもらえたとなれば…どれだけ感謝しても感謝し足りない程だ。
産まれて良かったと思わねばならない。
生きてて良かったと思わねばならない。

老成したわたしが、わたし自身にそう諭している。

『こいつらぶっ殺す。
 ぶっ殺してやる』
凶暴で残虐なわたしが、血を吐きながら絶叫している。

『レイプで産まれた子どもなら
 気分次第で殴られてても
 しょうがないよね』
諦念しか持たぬわたしが、そう呟いている。

わたしは、多重人格ではない。
ほら、こうして、どんな人格がわたしの中にいるか、きちんと把握できている。
でもこれは単に、このわたしがマスター人格だからってだけだったりして。
自分が分裂してることだけ知らないマスター人格なの。
そんなケース、あるのかな。


脳の中を騒然とさせたまま、わたしは静かに、母親の吐き続ける父親への恨み言を聞いている。

『けれどこれは、決して本人にだけは
 言ってはならない言葉だった』
わたしの中で、意見が一致する。
老成したわたしですら、そう判断する。


自分の思い通りに事を成す為なら、
手段を選ばず、感情の赴くままに、
何でも言うし何でもする。

そういう人物に対して、それまでなら『もううんざり…』程度だったのが、凄まじい憎悪を感じる様になったのは、この頃からだったと思う。




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