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2008/04/25(金) 00:50:45
11回目の逢瀬の朝は、目覚めると快晴だった。
彼からのメールは来ていなかった。
もしかしたら、わたしへの連絡などそっちのけでまずは目的地に向かっているかも知れないと考えた。
わたしもこれから向かうとメールしてから、犬と共に車に飛び乗る。

道中、沢山のバイクとすれ違う。
バイクを知らないわたしは、彼がなんというバイクに乗っていたか、以前聞いたのに思い出せなかった。
単独のライダーを見る度に、彼だろうか?などと考えながら、ハンドルを動かす。
携帯をちらちら見るが、彼からの連絡は、無い。
以前、『俺がバイクで死んだりしたら…』と言っていたのを思い出し、不吉なことを考えそうになってしまう…。

彼が行くと言っていた地域の、道の駅に車を入れた。

  わたしは今、○○に居ます。

メールを打つ。
そこで犬を遊ばせながら、彼からの連絡を待とうと考えた。
時刻はお昼…。
道の駅は、食べ物の匂いに溢れているが、わたしの胃袋は反応しない。
空が少し曇り始め、湿った空気が混ざり出したような気がした。

  あなたは今、どこに居るのでしょう…。

人気の少ない場所を見つけて、そこで犬を遊ばせながら、ぼんやりと煙草をふかす。
そこにやっと、彼からのメールが届いた。

  俺が今、何処に居るかって?
  家だよ。
  昨夜は、仕事で遅くなってな。
  今起きたところだ。


『ええぇ?』と、声が出た。
前回の逢瀬の時の様子から、次の休みに晴れたら、何を置いても飛び出しそうだと思っていたから、彼からの連絡も待たずにわたしも飛び出して来たのに…。
がっくりする反面、不吉な想像が実現してしまわなかったことに、大きく安堵する。

  これからそっちに向かうとなると、
  2~3時間というところか…。
  そっちの天気はどうだ?


  曇って来ました。
  降るかもしれません。


さて…これからどうしよう?
このまま帰っても、ドライブしたと思えばそれで済む。
けれども、彼には逢いたい。
待つ事は、苦にならない。
かと言って、珍しく寝過ごす程に疲れている彼に、これから出て来て欲しいとも言えない…。
そう言えば彼は、近いうちに、ちょっと大きなものを買いたいと言っていた。
その時には、わたしの車が必要になるから頼む、と。
そこで、これから自分がそっちに向かうので、その買い物に行かないかと提案してみた。

  そのプランに乗った。
  気を付けて来いよ。
  ○○の公園横で待て。
  まずは犬にちょっかい出したい。


彼に逢えることになり、わたしは俄然元気になる。
犬を急がせて車に乗り込み、いつもとは違うルートで、彼の住む街に向かう。
犬は…わたしの潜在意識の具現者は、彼に対して、どんな反応をするだろうか…。

更に…。

わたしを責める時の、彼の爬虫類の様な視線を思い出す。
人間であるわたしに対して、あんな目を出来る人が、犬をどんな視線で見て、どんな扱いをするのか。
淫乱牝犬ではない本物の犬と、どう接するのだろう…?

興味は尽きない。
逸る気持ちを、そのままアクセルに乗せてしまわぬ様に注意しながら、わたしは車を走らせた。




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