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尊厳

2008/03/03(月) 23:15:20
  俺以外の男に抱かれたお前にぶち込みながら、
  どういう風にされたのかを問い詰めたい。


ある時、彼が言った。
わたしは、彼がそれを求めた時、最終的には拒まないだろうと思った。


Sさんにメッセで会った。
会話の流れの中でわたしは、そのうち彼が、他の男にわたしを貸し出すかも知れないという話をした。
途端にSさんが豹変した。

  何だそれ。ふざけるな。

  え、なんで?
  SMの世界では、珍しい事じゃないみたいだよ。


  いくら何でも、友達を玩具にされては黙っておれんぞ。

  …わたしは…玩具だよ。

Sさんからの言葉が途切れた。

そう、わたしは玩具。
だからSさんも、わたしを道具にしたいなら、してくれて構わない…。

やっと反応があった。

  お前がそれでいいのなら、文句は無い。

その日は、それで終わった。
後日、再びメッセでSさんと会った。

わたしは結局、自分が嫉妬している事を白状した。

  彼氏の玩具だとか言い放つヤツが、
  嫉妬なんかしてちゃ駄目だろw


  彼の玩具なんじゃない。
  わたし自身が、玩具なの。


  あほか。変な事言うな。
  自分で自分を落としてどうする?


わたしは、落ちてしまいたいのだ。
一種の自己破壊願望。
物心ついた頃から、わたしの背後にぴったり寄り添っている、暗い衝動。

  こないだの話もそうだ。
  彼が本当に貸し出ししそうになったら、逃げろ。
  自分から落ちていくな。


  なぜ?
  彼が面白いと思ってくれるなら、私は何でもする。


  尊厳を踏み躙られてもいいのか?

  彼にとって、わたしの存在価値がそこにあるなら、尊厳など要らない。

  そんな事でしか、自分を確認できないのか?

  そうだよ。
  他のどこにわたしの居場所がある?
  こんな、生産性の無い肉のわたしに。


会話をしながら、気付く。
結局わたしは、夫という精神的支配者を失い、その穴の大きさに為す術を見失っているのだと。

  そうか…何だかんだ言っても、
  旦那の存在はデカかったか。


  そりゃデカいよ…
  離婚を言い出されるまで、
  浮気ひとつせず、旦那の為にって事だけ
  考えて生きてきたんだもん。


けれど、わたしが思う「夫の為」は、夫にとっては「自分の為」ではなかった…。

Sさんとの会話は、わたしの混乱した思考を整理分析する際の、きっかけも与えてくれる。

けれどこの時の会話は、同時に大きな失望をもわたしにもたらした。
『奴隷』と呼んで面白がっているわたしの「尊厳」を気にするSさんは、真のサディストではない…
それならば、サディストとしての精神の安寧を得る為に、わたしを求めることはないだろう…

そう考えたからだった。


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