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2008/12/29(月) 21:47:42
低く呻き声を上げた彼が、ぐったりとわたしの上に覆い被さった。
わたしは、その背中を精一杯の力で、抱き締める。
荒い呼吸を整えながら、まだ凶暴な硬さを保ったままのペニスを、わたしの中から抜いてしまう。
一発目から飛ばし過ぎだな。
彼が、苦笑交じりに呟く。
手を伸ばしてタオルを取り、互いの汗を拭き合う。
わたしは、さっき脳裏を過ぎった願望を、口にしてみた。
ねえ…突かれてる時に、
鞭とか蝋燭とか、欲しいな…。
突いてる時にか。
彼は、ちょっと困惑した。
突いてる時は、そっちに集中してえんだよな。
…そっか。
何となく、予想出来た返答だった。
彼は、何かひとつの事をする時、それに全精力を注ぎ込みたいというタイプで、だから、行為をしながら撮影する…というような事すら、気が散ると言ってやりたがらない。
それやろうと思ったら、もう一人要るな。
え?
彼が、至極当たり前の事の様に言う。
誰かにお前を突かせて、俺が鞭とかを使う。
…いいなぁ、それ。
別の男にやられて悶えてるお前も見たいしな。
ニヤリと、邪な笑みを浮かべる。
お前、誰かそういう男、見付けて来いよ。
わたしが他の男とやっても、平気?
おう。
寧ろ、やれと言いたい。
そんなもん見せられたら、
俺のチンポはきっとギンギンだぞ。
彼は、とても嬉しそうに言った。
わたしも、そんなわたしを彼がどんな表情で観てくれるのか、見てみたいと思う。
でも、探せって言っても、
どこで探せばいいのかな。
…ハプ・バーとか?
ああ、あれも一回行ってみてえんだけどな。
Tさん、お酒飲めない癖に。
わたしは、かつては酒豪と呼ばれた事もあるが、彼は話を聞く限り、下戸と言ってもいい程、お酒には弱い様だった。
そのわたしも、元夫と別居し、睡眠薬を処方される様になって以来、晩酌の習慣は絶えて久しい。
それより切実なのはだな…。
お金が、無い。
そこだ。
仰向けになった彼が、呟く様に言う。
世の中広しと言えども、
金が無いからSM出来ねえSMカップルなんて、
俺らくらいのもんじゃねえ?
ほんと、そうかもね。
他の人のブログとか見てると、
いろいろやってるけど、あれって結局
お金あるから出来るんだなぁって思うもん。
だよな。
暫しの沈黙の後、彼が、ぼそりと言った。
お前も、金持ちのサディスト、探すか?
嫌。
思ったよりも、強い言い方に、なってしまった。
わたしは、Tさんに責められたいの。
Tさんと一緒に、愉しみたいの。
それにわたしは、経済的に恵まれた生活も経験がある。
思えば、その生活を維持する為に、わたしはどれだけ、自分を殺し続けていた事だろう。
そして、その経済力を失った時、相手にはそれしか魅力が無かったと気付いた時の、何とも表現し難い空虚感。
更には、そんなものを相手の魅力に数え上げていた、自分に対する嫌悪感…。
それからすると、経済力には全く関係なく、精神的肉体的にわたしを満たしてくれる彼の存在は、どれほど大事である事か。
打算なく、純粋に彼だけを求める事が出来る今を、わたしがどれほど幸せに感じている事か。
まあ、もう一人って話は、
その内機会があればって事にしておこう。
ああ。
よし、風呂。
彼が勢いよく起き上がり、ベッドから降りた。
わたしは心の中で、先の言葉に補足を入れる。
それに、この先、まだ叶えたい欲望があるって事は、
それだけ日々の生活に対するモチベーションも
上がるってものだし…ね。
目標があるって、楽しいじゃないの。
そして、こんな考え方を教えてくれたのは、他ならぬ彼である事に気付いて、微笑んだ。
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