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2008/09/16(火) 16:25:38
早速彼は、テキパキと動き始めた。
小さめのダンボール箱や紙袋をわたしに用意させ、
ここにある書類は、全部これに入れるぞ。
とか、
これには本を入れていく。
後でまとめて本の部屋に移す。
とか言いながら、その手を休める事は無い。
最初は、彼の周囲をウロウロしていたわたしだが、生理痛がぶり返して来て、呻きながら蹲ってしまった。
そんなわたしの傍らにしゃがみ込み、無造作に髪を掴んで顔を上げさせる。
わたしの苦痛の表情をざっと観察した後、徐に口を開く。
痛むのか。
…うん…。
どんな痛みなんだ?
…んー…。
とっても鈍い痛み…。
例えるなら…んー…。
…鈍りまくった刃物で…。
子宮をグリグリ抉られてる様な…。
そんな感じ…。
ほう…。
彼の表情に、じわじわと喜悦の色が広がってゆく。
それを見ながらわたしは、本当にこの人は、わたしが苦痛に苛まれるのを見るのが好きなんだなぁ…と、他人事の様に考える。
突然彼は、子どもが興味を失った玩具を放り出す様に、わたしの髪から手を放して立ち上がった。
もういい。
お前はそっちでくたばっとけ。
え…。
彼がわたしに、横になっていても良いと言っているのだと気付くまでに、少し時間がかかった。
苦しむわたしを見る事を愉しむ彼が、わたしに、楽にしていていいなどと言うとは思わなかったのだ。
とは言え、やせ我慢が出来る程の体調ではなかったので、お言葉に甘えて、床の上に横にならせて貰った。
彼が片付ける物音。
彼に着いて回る犬の、せわしい足音。
彼の鼻歌や、犬に話しかける声…。
下腹部を抱え込み、カブトムシの幼虫の様な姿勢で転がったまま、ぼんやりと耳を傾ける。
ふと、目の前に転がっていた本を手に取り、パラパラとめくる。
そのまま、読書に軽く没頭してしまう。
てめえ。
突然、彼の声が頭上から飛んで来て、頭を踏まれた。
俺を働かせておきながら、
てめえは読書たぁいい度胸だなぁ。
あ?
ご…ごめんなさいごめんなさい。
ついつい手持ち無沙汰で…。
満開の笑顔でわたしの頭を踏みにじり、表情を変えぬまま足をどけると、言う。
…いいなぁ。
土足で踏める女。
愉しい。
言われてみると、彼はまだ靴を履いたままだった。
以前のわたしなら、誰かにふざけて足で突かれただけでも、むっとしていた。
それが、彼になら何をされても、不思議なくらい怒りを感じない。
不快感を得ても我慢するのではなく、不快感すら無いのだ。
これが、彼の全てを受け入れるという事なのだろうか…?
まあいい。
お前はそうして好きな事して
くたばってろ。
俺も好きにやらせてもらう。
機嫌よく言うと、彼は再び片付けに向かった。
彼の後ろを、犬が、弾む様な足取りで着いて行った。
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