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変化

2008/07/07(月) 22:34:15
わたしの中に精を迸らせた後、彼はそのままぐったりと弛緩した。

  お前の中が…
  別の生き物みたいに蠢いてた…


息を弾ませながら、言う。
果てる直前の『あっ、くそ…』という小さな罵声は、逝くのがあまり好きではないという彼が、わたしの中の蠢きに降伏した…という証だったのだろうか。

身体を重ねたまま、彼は呼吸を整える。
先ほどまでの猛りが嘘の様に萎んだペニスが、わたしの中からつるりと抜け出る。

  あ…っ…

そう言えば今まで彼は、射精するとすぐにペニスを抜いて、わたしに舐めさせ、飲ませていた。
彼の行動パターンに数々の変化が出てきていて…わたしはそれらに、何か意味があるのだろうか…?と、思案する。

呼吸を整え終えた彼が起き上がり、汗を拭いて水を飲ませてくれる。
わたしの汗も拭いながら言う。

  うん…いい汗だ。
  さらっとした、健康的な汗。
  きちんと運動している成果が、
  もう出ているじゃないか。


  本当?

  ああ。
  新陳代謝も活発になったんだろうな。
  肌がツルツルで、いい手触りだ…。


ベッドの端の方で、足を投げ出して座るわたしの膝に、仰向けになった彼が頭を乗せ、手を伸ばしてわたしの腕や背中を撫でる。
激しいセックスの後の、まるで夕凪の様に静かな時間…。

ふと彼が、我に返った様に言った。

  これ全然SMじゃないな。

  そうね…普通のセックスね。
  少し激し目の…。


  だな。

  そう言えばTさん、最近は
  他の男にわたしを使わせたいって
  言わなくなったね。


  そう言えば、そうだな。

  もうそんな事、考えてないの?

この瞬間、彼から今まで感じた事のない感情の動きが伝わった。
『動揺』だ。
ごく軽いものではあったが、彼がわたしの前では見せた事のない感情だった。
わたしは『おや』と思って、彼をじっと見つめる。
天井を見上げる彼の瞳が、左右に忙しく動いている。
何かを一生懸命に思考しているのだ。
わたしの言葉が切っ掛けになって、彼は、自覚していなかった感情に気付いたのだろう。
そしてその感情を、どう表現しようか…或いはどう解釈しようか、考えている…。

いつもと違う行動パターンを見せてばかりだった彼は…一体、どんな感情を自覚したのだろうか。
その返答が聞きたくて、わたしは無言で、彼の瞳を見つめ続けた。

  ま…俺も色々変わるのさ。

やがて彼は、それだけ言って起き上がり、ベッドの真ん中に移動して、腹這いになった。

  マッサージしてくれ。

  はい。

明確な返答がなかった事に、少しだけ落胆しながらわたしは、彼の太腿の上に跨り、マッサージの体勢をとった。




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